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自販機1日の売り上げは1000円未満 ダイドーが“鬼滅缶”で増益を達成できた理由:ビジネスの構造(2/4 ページ)
鬼滅の刃とタイアップした缶コーヒーがヒットしたDyDo。発売から3週間で累計販売数が5000万本を突破。自販機ビジネスの収益モデルとは?
自動販売機の売り上げは1日1000円未満
日本自動販売システム機械工業会によると、19年末の自動販売機および自動サービス機の普及台数は、414万9100台(前年比98.0%)となっている。このうち、飲料は237万台で57.2%を占めている。ダイドーは、約28万台の自販機を保有している。19年度(20年1月期)において、自動販売機での売り上げ(自販機チャネル)として982億円を計上している。
一部、修理中などの理由で稼働していない保有自販機もあるが、自販機1台あたりの売上高は、約35万円。1年が365日なので、1日あたりの売上高は1000円に満たない計算になる。
ほとんどの読者は、自販機で飲み物を買った経験があるだろう。自販機で売られている缶コーヒーやペットボトル飲料の価格は100〜160円程度である。1本120円とした場合、1日8本しか売れていない計算になる。24時間稼働して、3時間で1本販売できるかどうかという「小さな商いを積み上げる」ビジネスだ。この1台1台の小さな売り上げを集めながら、徹底的に効率的な運営を行ってコストを抑えることで、利益が残るようにしているのが、自販機ビジネスといえる。
ダイドーは、飲料業界内では売り上げに占める自販機チャネルの比率が高い。過去10年間で最も利益が多かった13年1月期でも、営業利益率は5.3%である。飲料メーカーとして低くはないが、決して高収益なビジネスを手掛けているとはいえない。
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