なぜ「すしざんまい」は、マグロの初競りを自粛したのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
マグロの初競りで一昨年は3億3360万円――。驚くような落札額で世間をにぎわせてきた「すしざんまい」(運営:喜代村)が、今年のマグロ初競りを自粛した。なぜ自粛したのかというと……。
派手にやるのはいかがなものか
では、なぜ今回、木村社長は「派手にやるのはいかがなものか」と考えたのか。
1つ考えられるのは、「市場関係者への配慮」だ。時事通信社水産部長の「今年の初競りマグロは2084万円…関係者から批判されても、すしざんまいがこだわる理由」(現代ビジネス 2021年1月5日)によれば、一部の市場関係者は「すしざんまい」が億超えの高値をつけることに対し、快く思っていないのだという。
それを示すのが、マグロ専門業者からなる「東京築地市場大物業会」(現・東京豊洲市場大物業会)が近年、初競りを取材するマスコミに出している以下のような「クレーム」だ。
「最高値のマグロに特化した報道が、一部事業者の過剰な競争を引き起こし、市場の価格形成機能、ひいては築地市場の信用にも影響が出かねない状況になっており、誠に残念に思っている。当業会として毎年このような状況が生じることは看過することができない重大な問題としてとらえている」
普段からこれだけ「過剰な競争をする一部事業者」に対して強い風当たりがあることに加えて、今年は木村社長としても、市場関係者に対していつも以上に配慮をしなくてはいけない理由がある。
それは「感染拡大」だ。ご存じのように、豊洲市場では昨年12月7日時点で感染者数は計160人にのぼっている。水産仲卸業者は家族経営など零細企業も多いので、休業することを避けて自主的に検査を受けない傾向もあり、それが感染を広げている指摘もある。
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