サイゼ社長の「ふざけんな」は当然 時短要請と協力金が批判されまくるワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/7 ページ)
当初、東京都は協力金を支払う対象を中小事業者に限定していた。しかし、大手企業から“異論”が相次いだ。不公平な仕組みを見直さなければ、都心店・大型店の崩壊は近い。
協力金がもらえる店がうらやましい
同じ東京都でも、北西部は森が深く、熊が出没する場所もある。例えば、山間部に近い家賃が安い場所で、夫婦2人でほそぼそと営業しているお店があったとしよう。1日の売り上げが1万円にも満たなくても、1日6万円がもらえてしまうのだ。内心、緊急事態を喜んでいる店も多いのが実態である。
こうした協力金には負の面もある。今まで仲良く事業を行っていた商店街の結束が、協力金のせいで乱れてしまったとの話も漏れ聞く。協力金をもらった飲食店を他の店主がうらやむせいだ。
今回の緊急事態は、医療崩壊を防ぐための措置である。感染経路については、1月6日に厚生労働省が発表した「第20回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の資料が詳しい。同資料には「東京では、感染拡大が続いており、年末まで人流の大きな低下がみられていない。東京では、飲食などの社会活動が活発な20〜50代の世代の感染が多く、少なくとも昨年末までの感染拡大では、飲食をする場面が主な感染拡大の要因となり、これが、職場や家庭、院内・施設内の感染に繋がっているものと考えられる」と記されている。
当該資料がどこまで確かなエビデンスに基づいているのかは不明だ。しかし、政府や各自治体は、今回の緊急事態宣言で社会経済活動を幅広く止めるのでなく、感染リスクの高い「飲食」に絞って、対策を徹底することにした。
自粛の対象を飲食店に絞る一方、手厚い協力金を飲食店に準備して、「飲食店を狙い撃ちにした」という批判をかわすはずだった。
まさに「緊急」だったので仕方ない面はあるが、雑な制度設計からさまざまなほころびが出てきてしまった。今後は不平等感が出ないように、改善してもらいたい。
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