香港1号店は「3日で桃10トン」 “日本産”を売りまくる海外版ドンキの正体:売上高1兆円を目指す(3/3 ページ)
ドン・キホーテを運営するPPIHは海外事業を強化。アジアや北米の店舗数を増やしている。日本産の農畜水産物の輸出を促進する会員制組織も設立し、勢いが止まらない。
日本産品の海外輸出を支援
「香港1号店はオープン3日間で桃が約10トン売れた(日本円で1100万円相当)」「タイ1号店はオープン初日にイチゴが3000パック売れた(同300万円相当)」「アジア全店で生ウニが年間2億7000万円、本マグロは7億円(いずれも19年の実績)」「香港の既存4店舗で(20年8月に)国産牛が1億8000万円売れた」
PPIHの幹部は20年10月、日本産品輸出を増やすのが目的の会員制組織「Pan Pacific International Club(PPIC、ピック)」の発足会でこのように海外の実績を説明した。また、創業会長の安田氏が、香港の既存4店舗では1カ月当たりの売り上げがそれぞれ7億〜10億円程度あると明らかにした。
ピックは、PPIHが海外で展開している店舗との取引を希望する日本の生産者や関連団体で構成される。入会費用は無料で、PPIHとの取引実績は問わない。
同組織を立ち上げたのは、農畜産物などの輸出を促進するためだ。国ごとに法規制や消費者のニーズが異なる。個別の企業や生産者がそれらを把握し、安定的に輸出をするのが難しい状況がある。そこで、PPIHは輸出に向けたアドバイスや商品開発、海外市場の提供などを会員に行う。
PPIHはこの取り組みに並々ならぬ力を入れている。同社はピックの発足会を帝国ホテル東京にて開催。参加者は100人以上だった。前農林水産省事務次官でPPIH顧問の末松広行氏が政府の輸出戦略を解説。全国農業協同組合連合会代表理事理事長があいさつを行ったほか、菅義偉首相から祝辞も届いた。
農水省によると、日本の農林水産物・食品の輸出額は2012年には4497億円だったが、19年には9121億円まで伸びている。19年の内訳をみると、その主力となるのは「農産物」(5878億円)や「水産物」(2873億円)だ。人口減少社会を見据え、政府も輸出促進に力を入れる。PPIHの戦略は“国策”に沿うものだということを強く印象付ける発足会だった。
今後、PPIHはマカオやグアムなどにも出店を計画している。帝国ホテル東京での発足式で、創業者の安田氏は「海外売上高1兆円(という目標を)を前倒しで実現する」と意気込んだが、大いなる野望を達成できるだろうか。
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