上場企業「早期・希望退職」募集、20年は2.6倍に急増 コロナ禍で赤字リストラ目立つ:リーマンショックに次ぐ水準
東京商工リサーチによると、2020年に早期・希望退職を募集した上場企業は93社だった。前年と比べて2.6倍に急増。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化したことで、“赤字リストラ”に踏み切る企業が増えている実態が明らかになった。
東京商工リサーチは1月21日、2020年に早期・希望退職を募集した上場企業が93社だったと発表した。前年と比べて2.6倍に急増。リーマンショック直後の09年に次ぐ水準となった。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化したことで、“赤字リストラ”に踏み切る企業が増えている実態が明らかになった。
19年は35社が早期・希望退職を募集し、今後の市場変化を見据えた“先行型”のリストラが増えていたが、20年は新型コロナの影響で一変。募集を開示した企業のうち、直近の本決算で赤字だった企業が51社と5割を超えた。
募集人数は、判明した80社で計1万8635人。社数と同様に、09年に次ぐ規模となった。募集人数が1000人を超えたのは、日立金属(1030人)とレオパレス21(1000人)の2社。コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(900人)、ファミリーマート(800人、応募は1025人)と続き、500人以上募集した企業は12社だった。1000人以上募集した企業は19年より減ったものの、小規模募集は増加。中堅企業による募集や、大企業での小規模募集も目立った。
業種別に社数をみると、最多はアパレル・繊維製品で18社。自動車関連と電気機器が各11社、外食と小売が各7社、サービスが6社と続いた。衣料品店や飲食店などの客数減少、旅行など移動を伴う需要の縮小、世界経済の悪化などの影響を受けた企業で募集が多かった。
また、20年は1年で2回の募集を行った企業が8社あり、前年の1社から増えた。ラオックスやアツギなど、コロナ禍で業績が急激に落ち込んだ業種で2回募集を行うケースが見られた。
21年も早期・希望退職募集が増える傾向は続きそうだ。1月21日時点で、すでに22社判明しているという。業種はアパレル・繊維製品や自動車関連、観光関連のサービス業、外食など。新型コロナの影響は長期化が避けられず、今後も人員削減や採用抑制などを行う企業が増加する可能性が高く、雇用情勢の悪化が懸念となっている。
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