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マツダの第6世代延命計画は成るか?池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/7 ページ)

マツダはこのFRのラージプラットフォームの開発をやり直す決意をして、発表予定を1年遅らせた。ではその期間をどう戦うのか? マツダは第6世代に第7世代の一部構造を投入してレベルアップさせながらこの遅れ分をカバーしようとしている。キーとなるのが、17年に第6世代の最終モデルとして登場した、マツダ自身が6.5世代と呼ぶ2代目CX-5である。

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 コモンアーキテクチャーでは、OSとして、基礎的な設計の数理モデルを完成させて固定する。この固定部分は動かさないし、動かさないでいい部分をあらかじめ徹底的に考えて決めておくのである。その上で、大きな振り幅をもって個別車種に変化を与えられる部分を事前に設けておく。

 例えば、バルクヘッドの構造とフロントフレームの関係、あるいはキャビンのつながり方の大法則を決めておく。その上で、車幅やピラーの角度ボンネットの高さなど、クルマによって変えたい部分をあらかじめ織り込んで開発しておく。こうすると衝突安全や、ハンドリングの基礎的傾向を同じにそろえることができる。

 例えばCX-30とMX-30は基本的に同じシャシーを使いながらも、Aピラーの角度が全く違う。そこを変えられると室内空間の仕立てが根本的に変わる。シャシー全体を固定してしまうとこういうことはできないが、バルクヘッドと他の構造体とのつながり方の原則だけ決めておけば、ピラーの角度の変更が可能になる。コモンアーキテクチャーはこのように、変えたいところを変えるために、固定部分の要素を決めておくやり方なのだ。

 さて、では固定部分を全モデル共通にすることができたらどんなメリットがあるだろうか? 例えば従来、ファミリア、カペラ、ルーチェの3つのベースモデルとそのバリエーションによってラインアップが構成されていたとしたら、この3車種をゼロからスクラッチで作るチームとそれぞれのバリエーションを作るサブチームが必要になる。

 しかしコモンアーキテクチャーにすれば、OSを開発するチームは1つでいいし、そのチームの人的・コスト的リソースを厚く用意できる。分散させるよりも良いモノができる可能性が当然高くなる。しかもこのチームはずっとこのOS部分の改良に従事し続ける。

 となると、これは一つの例えだが、OSによってすでに50%でき上がっているクルマは、そこから先の50%を開発すれば完成できるし、基礎部分はすでにできているので、個性を磨き上げる部分に集中できる。もちろん現実はそんなにカンタンではないだろうが、コモンアーキテクチャーの狙いはそういうことである。

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