マツダの第6世代延命計画は成るか?:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/7 ページ)
マツダはこのFRのラージプラットフォームの開発をやり直す決意をして、発表予定を1年遅らせた。ではその期間をどう戦うのか? マツダは第6世代に第7世代の一部構造を投入してレベルアップさせながらこの遅れ分をカバーしようとしている。キーとなるのが、17年に第6世代の最終モデルとして登場した、マツダ自身が6.5世代と呼ぶ2代目CX-5である。
さらにいえば、燃費モードがWLTCになったことによって、ダウンサイジングターボがあまり燃費向上に役に立たなくなってきた。特に北米マーケットは4気筒エンジンをバカにしているところがあるので、本来は6気筒が欲しい。世界のCO2規制が厳しさを増し、ダウンサイジングターボがトレンドからこぼれ落ちていく中で、マツダはどうしても3リッター級の6気筒エンジンが欲しい状況を迎えた。
こういう状況下で、従来の常識でいえば、V6ユニットへ流れそうなものだが、マツダは直6を選んだ。それはまたコモンアーキテクチャーの影響でもある。直4と直6は、吸気や燃料噴射の数理モデルをある程度共有できるのだが、V6となるとモデリングも解析もゼロからやり直しである。それには膨大なコストがかかる。マツダが直列4気筒の基礎研究をそのまま当てはめられる直列6気筒を選ぶのは当然の流れでもあった。
となると、長い直列6気筒は横置きFFと相性が悪すぎ、当然縦置きFRシャシーということになる。つまり4気筒系FF用のスモールシャシーと、4/6気筒系FR用のラージシャシーへと、大きく分割されることになる。ならば、コモンアーキテクチャーも上下に2分割して、それぞれに最適化すべき。生産台数的にもそれは理に適った流れであった。
しかしCAFE規制のロードマップを考えれば、直近数年以内には、この6気筒クラスもハイブリッド(HV)化あるいはプラグインハイブリッド(PHV)化は避けられない。幸いFRはスペース的にメリットがあるので、バッテリー搭載には有利である。そういう結論のはずだった。
しかし、MX-30のEVモデルを開発してみて、マツダは思い知ることになった。「EVの設計に必要な要素を理解していなかった」。その内容は明確には語られていないが、基本的にはバッテリーの冷却に必要なノウハウだと考えられる。そしてそれが判明した時にはすでにFRシャシーはある程度開発が進んでおり、問題点の解決のためにはFRシャシーの開発を一度ご破算にするしかないことが判明したのだ。
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