2015年7月27日以前の記事
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終電繰り上げは、本当に必要だったのか実際は、見かけだけ?(3/4 ページ)

1月20日から、いよいよ「終電繰り上げ」運行が始まった。繰り上げの決定は、2回目の「緊急事態宣言」発出後だったため慌ただしい導入となったが、報道によれば利用者に混乱はなかったようだ。今回は、なぜ混乱が起きなかったのか、どのような繰り上げが行われたのかを検証したい。

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各社間で調整し、運行方法を模索

 今月の「緊急事態宣言」の発出にあたり、1都3県の知事や国は各鉄道事業者に終電の繰り上げを要請した。終電を繰り上げることにより、感染源となる飲食を伴う会合を抑制しようとしたからだ。

 飲食を伴う会合などの人が集まる場から、新型コロナウイルスの感染が広まるという見方は多くある。そんな中、飲食店の営業は午後8時までとなり、それ以降はテイクアウトで対応するケースが増えている。

 しかし鉄道のダイヤは、簡単には変えられない。では、そもそも今年3月に予定しているダイヤ改正での「終電繰り上げ」は、どんな理由によるものだったのか。

 「終電繰り上げ」自体は、新型コロナウイルスの感染が国内で確認される前から、JR西日本がメンテナンス時間の確保や労務難を理由に計画していた。JR東日本も、同様の理由を示している。それを見た私鉄なども、やはり同様の理由で繰り上げを行うとしている。

 つまり、コロナ禍に端を発する終電時間帯の利用者減は、最後の一押しになったかもしれないが、元来の「終電繰り上げ」の理由は、近年続いてる問題の解決にある。

 そこへ1都3県の知事などから「感染拡大を抑制するために終電を繰り上げてほしい」という要請が来た。だが鉄道事業者たちは、一致団結して「コロナ禍と終電繰り上げは別の問題だ」と突っぱねることもできなかった。

 鉄道は社会の中で存在しているものであり、社会の状況を鑑みて、行政などの要請には従わなくてはならない。理不尽ではあるが宿命だともいえる。

 そこで鉄道各社は調整を行い、13日午後のJR東日本を皮切りに、その日のうちに私鉄なども発表を行った。そもそも行政の要請で終電を繰り上げる、という状況は珍しい。しかも要請から数日のうちに、運行計画などをまとめなければならない。

 今年3月に予定されているダイヤ改正自体を前倒しする案もあったが、調整が困難で不可能だった。結局、時刻表には記載されている終電を運行しない、という形での運用になった。これ自体は、対応としては普通だろう。それでも鉄道側としては、タイトな日程だったのだ。

 では、どのように終電を繰り上げたのだろうか。


知事や国は、新型コロナの感染源となる飲食を伴う会合を抑制しようと、各鉄道事業者に終電の繰り上げを要請した(写真提供:ゲッティイメージズ)

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