出社率50%のオフィス施工例 コロナ禍で失われた「偶発的なコミュニケーション」を促すレイアウト:【後編】新時代のオフィスレイアウト(2/2 ページ)
コロナ禍で働き方を見直している企業も多いのではないでしょうか。本記事では、社員数約350人に対して出社率50%程度を想定して施工した例をもとに、コロナ禍以降の社会を見据え「社員がオフィスに行く理由」や「オフィスにしか提供できない価値」を考慮したオフィスづくりのポイントをご紹介します。
個室ブースの充実
新型コロナウイルスの感染拡大により、社員のリモートワークや、社内外でのオンライン会議が数多く行われるようになりました。コワーキングスペースのような、「設備の整った一人用の個室」のニーズは高まっています。
工事不要で設置できるオフィス用個人ブースを提供する企業もありますので、追加で設置することも容易です。
この事例も「個室のワークブースなどを充実させたい」という意向が反映されたレイアウトとなっています。実際、少人数用のワークブースは連日満席となっているとのことです。
なお個人ブースを導入する場合は、1人の従業員が長時間占有してしまうことのないよう、「利用ルール」も合わせて考える必要があるでしょう。
会議室はより「自分たち目線」に
会議室のトレンドも、少しずつ変化しています。これまで、来客を想定した大人数用の会議室は必須でしたが、オフィスへの来客が減少している現在は、社内利用をメインに空間デザインする会社が増えています。
部屋ごとに雰囲気を変えることで、気持ちを切り替えるきっかけにもなります。
3.偶発的コミュニケーションの誘発
従業員はオフィスに対し「働く場所として高機能であること」と同時に、「オフィス以外では得られない体験」を求めています。それは、メンバーと空間を共にするからこそ生まれるものです。コロナ禍によって働き方の多様化が進んだからこそ、「偶発的コミュニケーション」をより起こしやすくするスペースの必要性は高まっていくと考えます。
また、ABWが浸透して人々が働く場所を自由に選択する中、オフィスにも自宅やお気に入りのカフェのような居心地の良さ、心休まるスペースがあれば、働く場所としてオフィスを選ぶ従業員も増えるでしょう。
このようにして「オフィスに行く理由」ができることで、オフィスが社員の偶発的なコミュニケーションを生み出す場所となり、新しいアイデアや事業成長、社員のエンゲージメント向上など、有益な効果を生む可能性が高まるといえます。
4.自社に合ったオフィスを考える
50%の出社率を想定して施工したオフィスの事例を、レイアウトのポイントと共に紹介いたしました。一方でオフィスの在り方は、その企業がもつ事業特性や成長フェーズ、文化によってさまざまです。「これが正解」というような例は一つも存在しません。
だからこそ、人に向き合い、会社に向き合い、その会社だけの答えを導き出すことに全力を注ぐことが重要だと考えます。
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