“出勤者削減”の目標を定めている企業は5割 目標値の平均は「7割」に届かず:緊急事態宣言への対応は?
労務行政研究所が発表した調査結果によると、今回の緊急事態宣言を受けて出勤者数の削減目標を定めている企業は5割にとどまった。在宅勤務を変更・拡充した企業は4割強だった。
2度目の緊急事態宣言発令に伴い、政府は「出勤者数7割削減」の目標を掲げている。各企業ではテレワークなどに対してどのように取り組んでいるのか。民間調査機関の労務行政研究所が1月26日に発表した調査結果によると、今回の緊急事態宣言を受けて出勤者数の削減目標を定めている企業は5割にとどまった。
現在、11の都府県に緊急事態宣言が出されている。対象地域の企業を対象に、感染防止対策の取り組みについて、今回の緊急事態宣言を受けて変更・拡充したもの(予定を含む)を複数回答で尋ねると、「在宅勤務」が44.0%と最多だった。「あてはまるものはない」が31.6%、「国内出張の制限」が29.1%、「私的なイベント、飲み会等への参加自粛要請」が26.9%と続いた。
在宅勤務を変更・拡充した企業は4割だったが、2020年12月末時点で89.7%が在宅勤務を継続的に実施していたことから、大きな変更をしていないことも考えられる。
また、今回の緊急事態宣言を受けて新たに取り組んだこと(予定を含む)については、「あてはまるものはない」が64.5%と最多だった。これまでの対策を継続的に進めている企業が多いようだ。新たに取り組んだことは「終業時刻以降の勤務抑制」(7.7%)、「私的なイベント、飲み会等への参加自粛要請」(4.3%)、「国内出張の制限」(3.8%)が挙がった。「終業時刻以降の勤務抑制」については、「午後8時までに帰宅できるようにする」など、不要不急の外出自粛要請を意識した取り組みを始めた企業もあった。
出勤者数の削減目標については、「定めている」が49.6%と半数だった。企業規模別にみると、1000人以上が67.7%、300人〜999人が43.0%、300人未満が42.2%と、大企業で目標を定めている割合が多かった。ただ、「すでにほとんどの社員が在宅勤務を実施しているため、あえて目標は定めていない」という企業もあった。
目標を定めている企業のうち、目標値が「出勤者数7割削減」を上回っているのは56.9%。目標値の平均は59.7%だった。目標値を「70%台」とする企業が最も多く46.6%だった一方、「50%台」も21.6%を占めた。
調査は、1月15日時点で緊急事態宣言が発令されていた1都2府8県の企業の人事担当者を対象に実施。1月14〜15日にインターネットで調査し、234社が回答した。
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