コラム
ノーベル賞のオークション理論 ビジネスに取り入れることは可能か:適切なマッチング(3/3 ページ)
米スタンフォード大学のポール・ミルグロム教授とロバート・ウィルソン名誉教授が、「オークション理論」でノーベル経済学賞を受賞した。確かに、オークションであれば、欲しいと思う人が一番高い値をつけてくれるまで交渉が進むので、売り手としても納得感が高い。
中小企業の大半のビジネスが、周辺の小さな市場のなかで行われている間は、そのなかでのシェア拡大に躍起になるしかなく、最悪の場合、競合との共食いすら起きる。
そしてこのコロナ禍だ。これまで以上に売ることが難しくなってしまっている。飲食業・観光業に限らず、乗り越えることが厳しい中小・小規模企業は多い。そして、いかに素晴らしい製品・サービスを持っていても、営業力・販売力に弱点を持つ企業は少なくない。
ビジネスユースでも、消耗品や部品などのeコマースはかなりポピュラーになってきているものの、常に在庫として準備できるものが大半であり、希少価値のある、遺さなければならない技術やサービスにおいては、マッチング的な仕組みは機能していない。
また、資金に余力のある企業のなかには、これを機に、何か新たな事業を始めたい、新たなサービスを販売したいと考える企業も少なくないだろう。
残された時間は多くないが、事業のM&Aを含め、適切なマッチングは、多くの人が望む仕組みであることは間違いないだろう。(猪口 真)
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