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中村玉緒さんのおかげで“脱・ローカル” ご長寿商品「マロニーちゃん」がコロナに負けず絶好調の理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
お鍋のお供として有名な「マロニーちゃん」。売り上げが冬に集中していたが、春や夏にも売れた。その理由とは?
シベリアから生還し創業
マロニーは1950(昭和25)年に吉村義宗氏が創業した。大阪市東淀川区にて、もやし製造業の吉村商店を創業したのが始まりだ。
吉村氏は福岡県飯塚市の出身。太平洋戦争では兵役で中国に渡り、極寒のシベリアで抑留を余儀なくされた。48年に帰国し、野菜の仲買などで生計を立てる一方で、もやし製造の技術を取得。親類を頼って、一旗揚げようと大阪に出てきた。
吉村商店のもやし製造は好調で、急速に業界でも注目される存在となる。55年には会社組織に改編して、大洋産業株式会社として再スタートを切った。吉村氏には先見の明があった。工場設備で耐久性と衛生面での充実を図り、完全な機械化でなんと生産量日本一となった。
しかし、原料である緑豆の高騰や競争の激化により、吉村氏はもやし製造の限界を感じていた。
61年には春雨を改良した製品ができないかと模索し、大阪府立工業奨励館(現・大阪産業技術研究所)を訪ねた。委託研究生を派遣して、溶けない春雨の開発が始まった。これがマロニーちゃんの原点となる。当時の春雨は、煮込むとすぐ溶けてしまうので扱いが難しく、家庭では鍋料理に使っていなかった。
そうした試行錯誤を繰り返し、63年に開発したのが初代「マロニー」だった。
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