中村玉緒さんのおかげで“脱・ローカル” ご長寿商品「マロニーちゃん」がコロナに負けず絶好調の理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
お鍋のお供として有名な「マロニーちゃん」。売り上げが冬に集中していたが、春や夏にも売れた。その理由とは?
「マロニー」から「マロニーちゃん」へ
同社は17年、ハウス食品グループ本社に買収されて、完全子会社となった。背景には後継者問題があった。ハウスは「CoCo壱番屋」も15年に買収するなど、一芸に秀でた食の優良企業のM&Aに熱心なイメージがある。
ハウス出身の難波克章氏が新社長となり、19年にはブランドを一新。商品名を「マロニー」から「マロニーちゃん」へと改名した。
そして、20年2月には、「スープマロニーちゃん」を発売して、即席カップスープに参入。食べやすいショート麺を採用し、カップ麺の感覚で、熱湯を注ぐだけで手軽にマロニーを楽しめるようにした。量販店向けの商品で、当初は近畿と中四国のみの限定販売だった。8月には、好評につき九州へと拡大。順調な滑り出しを見せている。
アイテムは、鶏ダシたまご、うま辛担々味、まろやか鶏白湯、コクうま酸辣湯の4種類。
同社は、このように鍋用途以外のさまざまな商品拡大の試みを行ってきた。そうした努力がコロナ禍でステイホームが政府から国民に要請される中で、鍋の季節でもないのに販売が目覚ましく拡大するという成果に結びついた。
昨夏には、「しみこめ、スープ。まろにーちゃんす!」と題して、料理研究家のリュウジ氏やニューヨーク在住の人気ユーチューバーkemio氏とのコラボを展開した。YouTubeやTwitterで、マロニーを使ったチャプチェ、サンラータン、マーボー麺、春巻きなどを紹介。若い人向けのプロモーションを行った。
焼肉の残り具材にマロニーを加えてレンジでチンするだけで、チャプチェができる。残り物の中華スープに、卵とマロニーを入れてサンラータンにする、などといった簡単レシピが紹介された。
反響は大きく、動画がアップされた週に売り上げが2倍になるなど、ユーザーの広がりが見られた。
北米では、ベトナムの麺料理である「フォー」のようにマロニーを食べるのが浸透しており、まだまだ知られざる活用法が眠っていると言える。発売からそろそろ60年となる長寿商品なのに、食の未来を感じさせる大きな可能性を秘めているのがマロニーちゃんの魅力だ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「暮らしやすさ自慢」の都道府県ランキング 東京都を抜いて1位になったのは?
ソニー生命保険が「47都道府県別 生活意識調査2020」を発表。暮らしやすさ自慢、子どもの育てやすさ自慢などをランキング化。コロナ禍の影響も調査した。 - 「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。 - スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」がどんどん“ドンキ化” 一方で住民から不安の声も
スーパーの「アピタ」と「ピアゴ」が“ドンキ化”している。運営会社は2022年をめどに、約100店舗を業態転換する方針だ。その一方で、生まれ変わる予定のアピタ岐阜店の周辺住民からは不安の声が出ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.