コラム
大手の大量閉店で現実化するアパレル危機 ウィズコロナ時代の勝ち組とは?:好調と不調を分けるもの(3/3 ページ)
ワールドは約350店舗、TSIホールディングスは約200店舗、三陽商会は約160店舗、オンワードホールディングスは20年2月に700店舗閉鎖した。以前から業績が低迷していたところに、コロナが追い打ちをかける結果となった。ウィズコロナ時代の勝ち組企業の取り組みとは?
消費者目線の徹底で「買いたい」と思わせる
好調組に共通しているのは、デジタル施策の徹底、機能性重視のアイテム、低価格の3軸だと考えられる。
トレンドファッションを身に着けたいが、外出の機会が減った今、そうした商品への支出を抑えたいという消費者のニーズに対し、しまむらは、気軽にトレンドアイテムを楽しんでもらえるよう低価格で提供している。混雑を避けて、家族でアウトドアやスポーツを楽しみたいといった消費者ニーズに対し、ワークマンは、防寒用、スポーツ用、部屋着など、用途が明確なものを低価格で提供している。
そして、それらのアイテムを家にいながら、購入したいと思わせるデジタル施策が、コロナ禍の鍵だ。実際にモノを見ずに購入することはハードルが高いが、「買いたい」と思わせる施策として、ワークマンもしまむらもインフルエンサーによる情報発信に注力している。
多くのファッションブランドが陥りがちなのは、イメージを優先するあまり、モデルや芸能人を起用して、消費者の求めるリアリティーとのギャップを作ってしまうことだが、消費者の感覚に近いインフルエンサーが商品を着用したり、紹介したりすることで、リアルな着用イメージや使い心地をイメージしやすくなるのだ。消費者目線を徹底し、「買いたい」と消費者に思わせた企業が、コロナ禍で売上を伸ばせたのだろう。
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