業績好調のアイリスオーヤマ マスクで見せた「一点突破全面展開」と「時流適応経営」の秘密:コロナ禍をチャンスに(2/6 ページ)
アイリスオーヤマの業績が好調。その強さの秘密は「時流適応型経営」にある。マスクの生産も話題になったが、ここにも重要な戦略が隠れているという。
プラスチック関連製品の下請け加工からのスタート
現在、同社は家電事業が売り上げの半分以上を占めます。また、LED事業まで含めると70%以上が家電関連という事業体です。
しかし、同社はもともと家電を扱っていたわけではなく、祖業は大阪の下町にあったプラスチック加工メーカーです。いわゆる下請け企業としてプラスチック容器などの成型を請け負っていました。
大山健太郎会長は、父親が1958年につくった会社を、父の急逝を機に19歳で引き継いでいます。社員5人からスタートし、71年に大山ブロー工業株式会社としたのがアイリスオーヤマの始まりです。小さな町工場から株式会社への転換を図れた最大の理由は、大山会長の「町工場のオヤジで一生を終えたくない」(同社公式Webサイト「アイリス物語」より)という強い信念にありました。
引き継いだ当時、下請け加工業だったこともあり、大山会長は「自分の仕事の価格は自分で決めたい」と強く思っていたそうです。
当時、三重県の真珠養殖の現場では、貝を海中に沈める際に使用するガラス製の浮き球が割れやすいという課題を抱えていました。そこで、大山会長はプラスチック製に変えたらどうかと提案。デザインを変えた独自の商品を作り、養殖業者に売り込んだのがアイリスオーヤマの原点です。
つまり、同社の成長を今も支えている商品開発力、価格設定力、チャネル開拓力という3つの原点は、全て真珠養殖の浮き球から始まっているのです。
父の急逝に伴う事業承継。大山会長にとっては最大の危機だったとも言えます。しかし、その危機をチャンスに変えて事業を軌道に乗せました。同社の事業成長を支えてきた3つの要素を具体的に見ていきましょう。
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