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業績好調のアイリスオーヤマ マスクで見せた「一点突破全面展開」と「時流適応経営」の秘密コロナ禍をチャンスに(3/6 ページ)

アイリスオーヤマの業績が好調。その強さの秘密は「時流適応型経営」にある。マスクの生産も話題になったが、ここにも重要な戦略が隠れているという。

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伸びる鉄則その1「値ごろ感のある価格設定力」

 同社の最大の強みは「買いやすい価格の商品」という点です。値ごろな商品を開発する会社というイメージを決定的なものにしたのがLED電球です。

 現社長の大山晃弘氏が米国法人から戻った2010年当時、同社はまだシュレッダーや加湿器といった軽家電しか手掛けておらず、しかも小売店からの要望を受けて製造するOEMメーカーという位置付けでした。大手家電メーカーのLED電球の価格設定は6000円程度でしたが、1個2000円程度という価格設定にしたアイリスのLED電球は一気に売れました。同社では、消費者が買いやすくて便利だと思ってもらえる商品を「なるほど家電」と名付けています。なるほど家電の価格設定を可能にした考え方が、「売価逆算方式」です。

 「原価積み上げ方式」で価格を設定するのが通常のモノづくりなのに対して、同社は販売価格から考える「売価逆算方式」で価格設定をしています。


売価逆算方式の考え方

 この価格設定は製造側、技術者側からすれば非常に難しい方法になります。顧客が買いたい価格から発想するため、開発できたら売り上げは増加する可能性が高くなりますが、そのためには「何を削り利益を生み出すか」という工夫が必要です。特に同社のように家電で後発という場合には、価格を切り口にして開発していくことが優位性につながります。足し算ではなく引き算によるモノづくり発想。これがアイリスオーヤマがシェアを高めていく、なるほど家電開発の軸となったのです。

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