なぜ面接評価はアテにならない? 離職率をはじき出すAIがすごい(1/2 ページ)
新卒、中途の採用といえば、適性検査と面接評価が普通だ。しかしこれらの評価が優秀でも、必ずしもハイパフォーマーになるとは限らないし、数年で離職してしまう人もいる。どうしたら自社に適切な人材をうまく選べるのか?
新卒、中途の採用といえば、適性検査と面接評価が普通だ。しかしこれらの評価が優秀でも、必ずしもハイパフォーマーになるとは限らないし、数年で離職してしまう人もいる。どうしたら自社に適切な人材をうまく選べるのか?
「採用面接の自信を聞くと、7割近くが平均以上だと思っているが、実は面接評価の予測は63%が外れている」。そう話すのは、AIを使って採用の見極めを支援するサービスを提供する、アッテル(東京都渋谷区)の塚本鋭社長だ。
アッテルは2018年創業。大学院で機械学習を専攻し、野村総合研究所を経てクラウドワークスに入社した塚本氏だが、「自分がいいと思って採用した人が、すぐ辞めてしまう経験をした。現在の採用は感覚に依存している」(塚本氏)ことから、データを用いて採用を支援するアッテルを立ち上げた。
アッテルでは、従来の適性検査や面接などと比較して、「選考時の評価」と「入社後の評価」の一致率が高く、面接の1.5倍という予測精度をほこる。そのダッシュボードでは、入社後に「ハイパフォーマーになる可能性90%」や「離職率30%」などの数値を表示し、人事判断を支援する。
ではどのような仕組みで、それを実現しているのだろうか。
なぜ自社のハイパフォーマーに似ている人を採用するのではダメなのか?
まず適性検査でよく評価のモノサシに使われる「リーダーシップ」「ストレス耐性」の高さは、データで見ると「入社後の評価と関連がない。むしろローパフォーマーのほうがスコアが高かったりする」と塚本氏は言う。実際のデータで見ると、ストレス耐性のスコアは、退職者平均で70、在職者で63.8。むしろ辞めている人のほうがストレス耐性が高い場合もある。
さらに、よくある「自社のハイパフォーマーに似ている人を採用する」という手法だけではダメだと塚本氏は話す。
例えば、自社のハイパフォーマーが適性検査で「達成意欲」「自己性」が高く、「慎重性」「従順性」が低いという結果が出たとする。これに基づいて、採用でも「達成意欲」「自己性」が高く、「慎重性」「従順性」が低い人を採用しても、ハイパフォーマーになるとは限らない。それはハイパフォーマーの特徴を同じように持つローパフォーマーが一定数含まれるからだ。
AI(機械学習)によって、ハイパフォーマーとローパフォーマーに特徴的なパターンを分析すると、実は「内向性」「活動性」「敏感性」「懐疑性」が、両者を分けるポイントだということが分かる。採用においても、この点をチェックすることで、入社後、ハイパフォーマンスを出す可能性が高まるというわけだ。
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