なぜ面接評価はアテにならない? 離職率をはじき出すAIがすごい(2/2 ページ)
新卒、中途の採用といえば、適性検査と面接評価が普通だ。しかしこれらの評価が優秀でも、必ずしもハイパフォーマーになるとは限らないし、数年で離職してしまう人もいる。どうしたら自社に適切な人材をうまく選べるのか?
パフォーマンスに最も影響したのは、考え方や価値観だった
一般的な適性診断は、心理学などの研究を元に人が持っている要素を分類し、その要素の強さを測る方法で診断を行う。一方でアッテルは、数多くの企業に協力してもらい10万人から、1000個近い質問の回答を得た。その上で、その従業員の評価と掛け合わせ、どんな質問がハイパフォーマー/ローパフォーマーの違いにつながっているかを分析。独自の適正診断を作り上げた。まさに、ハイパフォーマーだけが持つ特性を見極めるテスト項目だ。
結果分かったのは、「最も予測精度が高かったのが、考え方や価値観に関する問いだった」(塚本氏)ということだ。
人物評価には一般に、企業のカルチャーマッチの軸と、スキルや経験の軸がある。しかしスキルや経験については見極めることが難しく、唯一分かっているのは学力が一定以下だとローパフォーマーになりやすいということ。そして、一定以上だと仕事の評価には関係がなくなる。
一方で、カルチャーマッチの部分については、入社後の成果について高い予測精度が出た。ただし、会社全体へのマッチと、職種マッチの両方の要素があり、どちらが強いかは会社によっても異なるという。「例えば、職種によってハイパフォーマーの特徴が異なる会社もある。逆に、企業カルチャーの強い会社などでは、職種によって変わらず共通の場合もある」(塚本氏)
塚本氏が目指すのは、企業や職種ごとにどんな要素を持っているとハイパフォーマーになりやすいかというモデルの作成だ。カルチャーマッチがハイパフォーマーに結びつくということは、企業ごとにハイパフォーマーになれる人材の性質が違うということでもある。世の中全体のモデルを作れれば、今の会社で活躍できていなくても、ハイパフォーマーになれる会社をアルゴリズムで見つけ出せるようになる。
「A社で活躍できない人は、B社に行けば活躍できる。データを集めることで、日本全体、世界全体での人材の最適配置を目指す。転職サービスの裏側のアルゴリズムを担えるようになりたい」(塚本氏)
人事にもデータの時代が来る
アッテルは19年のサービス提供後、約300社に導入されている。社員数百人の企業では採用に使うことが多く、1000人を超えると採用よりも配置時の参考として使われることが多い。
製造現場はもちろん、営業やマーケティングでも、人の感覚ではなくデータに基づいて判断するのは今や当たり前だ。ところが、人事面ではデータの活用が遅れている。「採用時評価と実績評価が一致しているかの振り返りは、9割の会社がやっていない」と塚本氏は言う。ほとんどの会社では、好みや直感で採用を決めており、データは活用されていないのが現状だ。
「データが好きな会社は、アッテルの評価を6割くらい参考にして人事を判断してくれている。新興でIT系のほうがデータを生かして意思決定してくれるところが多い」と塚本氏。
営業で、データを活用する営業支援システムが根付いたのがこの20年。バックオフィスでも、徐々にIT化とデータ活用の動きが進んでいる。アッテルが掲げる「脱。感覚人事」の時代が少しずつ近づいてきている。
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