喫煙所でどんなビジネスが生まれているのか スキマ デパートの試みが面白い:水曜インタビュー劇場(プカ〜公演)(2/6 ページ)
東京都内で、喫煙所がじわじわ増えていることをご存じだろうか。設置しているのは、自販機などを扱っている「スキマ デパート」。喫煙所を増やすことで、同社は何を狙っているのだろうか。話を聞いたところ……。
狭いスペースに広告を表示
土肥: スキマ デパートは飲料だけでなく、ちょっとユニークな商品を自販機で仕掛けていますよね。サイバードの恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」とコラボして、「缶バッジ付き天然イケメン水」(800円、税込、以下同)を販売したり、グラノーラ専門店でお試しサイズの「限定グラノーラ」(250円)を扱ったり。こうした自販機のことを「自由販売機」と命名して、現在は20台ほど稼働している。2021年中に100台以上の設置を目指しているようですが、なぜ個性的な自販機を扱うようになったのでしょうか?
岡部: 当社は2015年に、自販機ベンダー事業を手掛ける会社を買収しました(旧エスディ・ジャパンから20年に商号変更)。当初の契約台数は600台ほどでしたが、飲料メーカーの商品を横断的に扱う「100円自販機」に注力し、21年1月末時点では約3300台、2月末には5000台を超える見込みなんですよね。
土肥: 自販機の台数を順調に増やしているようですが、もともとは自販機事業をやっていないですよね。ちょっと調べたところ、不動産に関わる管理や税務などのほかに、投資関連の事業を行っています。
岡部: 自販機ベンダーを買収する前の話になりますが、不動産関連の事業を展開していることもあって、マンションなどのオーナーさんからいろいろな声がありました。ある人からは「敷地内の植え込みスペースにゴミを捨てられて、困っている。なんとかできないですかね」といった相談がありました。
場所は原宿。立地は悪くないのですが、とても狭いスペースでした。月3万円で借りて、そこに広告を表示することに。すると、15万円で貸すことができたんですよね。「これはちょっと面白いビジネスができるかもしれない」と考え、街中を歩いてみると、使っていない狭いスペースがたくさんあることが分かってきました。狭いスペースを見つけて広告を表示したり、自販機を設置したりすれば、もうけることできるのではないか。しかし、強力なライバルがいました。
土肥: 飲料メーカーでしょうか? 狭いスペースに自販機を設置していますからね。
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