曙ブレーキが検査データ不正 11万件で数値改ざんや未実施データ記載:2001年から
自動車部品大手の曙ブレーキ工業は、自動車用ブレーキ製品の検査データに不正があったと発表。データの改ざんや実施していない検査データの記載など、約11万件で不正行為が確認されたという。
自動車部品大手の曙ブレーキ工業は2月16日、自動車用ブレーキ製品の検査データに不正があったと発表した。完成車メーカーへの報告書において、データの改ざんや実施していない検査データの記載などがあった。不正は2001年から行われており、約11万件で不正行為が確認されたという。
同社は、新経営体制に移行した後の19年11月、生産子会社で不適切行為が行われていると報告を受け、社内調査を実施。20年2月からは調査対象を国内の全ての生産拠点に拡大した。さらに、一部の顧客からは報告書に不審なデータがあるという指摘も受けていたという。
調査の結果、不正行為があったのは、4カ所の生産拠点で製造する自動車用ディスクブレーキ、自動車用パッド、自動車用ドラムブレーキ、自動車用ライニングの4製品。顧客である完成車メーカー10社から指定されている定期検査において、実測データのばらつきを修正する改ざんや、過去の検査データの流用などによる未実施検査データの記載、検査サンプル数の省略といった行為が判明した。
01年1月以降の定期報告データ19万2213件のうち、不正行為があったのは11万4271件。そのうち検査データの修正があったのは5万5048件だが、その多くが顧客との合意に基づく管理値の範囲内で、管理値と乖離があるデータは4931件だったという。
不正行為の確認を受けて、対象製品のデータ検証や再評価を実施した結果、製品の性能に問題はないと判断しているという。
今後は、検査報告書の承認体制の見直し、人が手を加えられないようにするIT検査システムの導入、品質教育の強化など、再発防止策を実施する。
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