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「プリコネ」大ヒットの舞台裏 一度たたんだコンテンツを復活させたCygamesの手腕とはCygames木村唯人専務インタビュー【後編】(3/3 ページ)

サイバーエージェントの連結子会社のCygamesが開発・運営する「プリンセスコネクト!Re:Dive」。モンストなどと比べると18年リリースと後発の作品ながら、トップセールスランキングでも上位に割って入る大ヒットとなっている。だが、初代「プリンセスコネクト!」は一度サービスを終了した経緯もある。いかにして、一度「店じまい」したコンテンツを復活させたのか。「プリンセスコネクト!Re:Dive」のプロデューサーを務め、Cygames専務取締役の木村唯人さんに聞いた。

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テレビアニメも内製

――テレビアニメを内製化するのは、ほとんど例がないと思うのですが、ここまでしないと自社の戦略に沿ったメディアミックス展開は難しいものなのでしょうか。

 内製で作ってもそこは難しいですよね。監督がモノ作りに情熱を持っている人であればあるほど、自分のやりたいことにこだわる傾向もあるので。ゲームとアニメに違いが生まれるのは仕方のないことだと思います。オリジナル作品が得意な監督と、その作品の良さを最大限に引き出すのがうまい監督とでも変わってきます。作る人次第の部分が大きいので、そういった意味でプロデューサーとして監督と対話することは大事にしています。

 ただ、アニメ制作を内製化することで、ユーザーが喜ぶ細かいこだわりを反映しやすくなる部分はあります。テレビアニメは予算的にも人員的にも大きなコストをかけて、限られた時間の中で作られるので、どうしても妥協せざるを得ない場面が発生します。内製化すると日ごろから意思疎通ができて、目標とする内容に対しての目線がそろえられるので、クオリティーを追求しやすいメリットは確かにありますね。また、内製なので、自社のゲームをアニメ化するからには最高のコンテンツにするという意識でやってもらえた面もあります。

phot

――ゲームとアニメの2つの媒体で「プリコネR」を同時展開しているわけですが、新規顧客を獲得していく上ではどんなメリットがあるのですか。

 僕は、ゲームをやらない人は(そのまま)やらなくてもいいのかなと思っています。あくまで趣味の一つですしね。ただ、スマホが普及した結果、一昔前に比べると今は圧倒的にゲームをやる人が増えたのも事実です。ですので、ゲームユーザーの新規開拓は無理にしなくてもいいと考えていますね。

 これは持論ですが、ゲームをやる人よりアニメを見る人のほうが多いと思っています。アニメを見るほうが、受動的ですからね。アニメを見ない人よりも、ゲームを全くやらない人のほうが多いのではと考えています。その意味では、アニメはゲームの一つの間口になる。また、既にゲームをやっている人にとっては、アニメ化したことによって、その作品をさらに好きになってもらえると考えています。

phot

――やはり、アニメの影響は大きいのですね。

 もう一つ大きいと思っているのは、アニメのほうが海外展開への足掛かりにしやすいことです。アニメは、一つ作るとすぐに海外にローカライズすることが可能なのです。ゲームと比べると、アニメは字幕をつけるだけで翻訳できますから、すぐに海外の人にも見てもらえます。

 だからアニメは海外展開する上で非常に有利ですね。アニメを出してからゲームをローカライズするケースも少なくないので、海外のファンからすると、日本ではゲーム原作のアニメであっても、「ああ、あのアニメのゲームか」と受け止められるんですよね。こういう面でも、アニメは海外展開の足掛かりとして非常に効果があります。日本のスマホゲームはアジアをはじめとする海外でも人気があるので、今後もこのようなメディアミックスが重要になってきますね。

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