時短せず「ノーマスク」で接客する店も 「ナメんじゃねーよ!!」と怒る“反逆飲食店”の言い分:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
緊急事態宣言を受け、時短や休業要請がされている。しかし、通常営業を続ける“反逆飲食店”も存在する。支援金などの制度を実情に沿った形に改善すべきだと筆者は主張する。
時短や休業に応じた理由とは
大衆居酒屋の「屋台屋 博多劇場」や「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」などを経営する一家ダイニングプロジェクトは、東京都が大手外食企業に対しても1月22日から1店当たり1日6万円の時短協力金を支払うと決めたのを受けて、時短要請に従った。
他の府県は、企業の規模を問わず時短協力金を支払っていた。一方、東京都だけは当初、資本金5000万円以下の中小企業や個人事業主を対象としていた。大企業を除外していたのは、資金の余裕があるためとしていた。
同社は、協力金の支給対象から除外されては「社員、アルバイト、パートナー企業、サプライヤーの雇用を守れない」と表明。1月9日から70店中42店で時短要請に応じず、通常営業していた。
居酒屋チェーン「肉汁餃子のダンダダン」約100店を経営する、NATTY SWANKY(ナッティースワンキー)も、一部を除いて時短に従わずに営業してきた。しかし、緊急事態下において、愛知県の3店以外時短営業している(2月16日午前10時時点)。
もう付き合っていられない
一方、時短要請に応じていたが、緊急事態宣言が1カ月延長されたため、もう付き合っていられないとばかりに午後8時以降の営業に踏み切る店も出てきた。
都内で博多料理「ジョウモン」や肉料理「ミートマン」など10店の居酒屋を構えるベイシックスでは、現状5店で午後8時以降の営業を行っている。
平日、六本木のミートマンは午前5時まで営業を行っていて、午前0時以降はスタッフがマスクを外している。
ベイシックスの店舗は見つけにくい2等、3等立地が中心だ。目立った看板もなく、隠れ家のような落ち着いた雰囲気の店ばかりである。和モダンな空間で、トレンドを踏まえた洗練された料理を出す。決して高額ではないが、全般に客筋が良く、女性客が多い。かつてはインバウンドでも人気が高く、東京・西麻布にあった「てやん亭”」(現在は閉店)は、英国の権威ある日刊紙「ガーディアン」が2008年2月26日付で掲載した「東京の居酒屋トップ10」の1位に選定された。
社長の岩澤博氏は、卓越した店づくりと人材育成の手腕で、飲食業界では慕われている人物である。簡単にキレる人ではない。
岩澤氏のブログ「ガンさん日記」を読んでいると、緊急事態宣言の延長前は半分の店を休業していたことが分かる。残りの半分が午後8時までの営業ではほとんど売り上げが立たず、1月は前年の10分の1程度にまで落ち込んだという厳しい現状がつづられている。
もう1年も休業、時短、自粛を断続的に続けているのに、「まだ足りない」とばかりに罰則と過料を科す。実際、ベイシックスに限らず、多くの飲食企業は我慢の限界に達してきている。
そうした中、時短中でも渋谷の店舗では顧客が増え、満席になる日も出てきた。こうした変化をチャンスと捉え、罰金、店名公表をされても、売り上げがほしいという切なる願いで午後8時以降の営業を決めた。
また、ノーマスクで接客する理由も説明している。居酒屋にとって最も大切なのがお店の空気感で、その空気感の演出に欠かせないのがスタッフたちの笑顔だ。笑顔がマスクに隠されている事実が残念でならない、とのことだ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - パソナの淡路島移転は「島流し」なのか? 移住した副社長が感じた“思った以上のポテンシャル”とは
パソナグループは、東京にある本社機能の一部を淡路島へ移転させている。移住した副社長に環境や社員の働き方がどう変わったのか聞いた。副社長は思った以上のポテンシャルを感じている。 - サイゼ社長の「ふざけんな」は当然 時短要請と協力金が批判されまくるワケ
当初、東京都は協力金を支払う対象を中小事業者に限定していた。しかし、大手企業から“異論”が相次いだ。不公平な仕組みを見直さなければ、都心店・大型店の崩壊は近い。 - 「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.