2015年7月27日以前の記事
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Clubhouseに関わるAgoraとZoom、2人の中国系創業者の意外な接点浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/5 ページ)

ブームは一段落したが、現在も順調にユーザー数を伸ばす音声SNS「Clubhouse」。当初は、海外SNSを制限する中国でもアクセスできたため、関係者が試し、論評し、模倣する結果となっている。またアプリの音声技術を提供する中国企業「Agora(声網)」と、Zoomの創業者の意外な接点も見えてきた。

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3.「米中のイイとこ取り」がはらむリスク

 ジャオ氏のキャリアを辿っていくと、20年を代表する起業家、Zoomの袁征(エリック・ユエン)CEOとの接点も見えてきた。

 山東省出身のユエン氏は、94年の日本出張中にビル・ゲイツの講演を聞き、米国行きを志した。ユエン氏はスタンフォード大学MBAのインタビュー(リンク)などで、9回目の申請でようやくビザを取得でき、社員が20人足らずだったWebExに就職したことや、経営者が華人だったため社員の多くも中国人で英語を話せないユエン氏でも働けたこと、WebExでビデオ通話システム開発に携わっていたことを明かしている。


Zoomのエリック・ユエン(袁征)CEOの、スタンフォード大学MBAのインタビュー(リンク

 ZoomとAgoraというコロナ禍で大躍進を遂げた2つの企業の創業者は、20年以上前の同じ年に同じ会社に入り、同じプロジェクトに携わっていたということだ。

 WebExは、07年にシスコシステムズに買収された。ユエン氏はそこで順調に出世し、米国籍を取得したのに対し、Agoraのジャオ氏は05年に帰国している。

 ユエン氏は米中メディアのインタビューで「米国で数年働いて帰国しようと思っていたが、透明でオープンな米国のやり方が好きになっていた。それで米国籍を取得した」と語っている。

 2人の道が分かれたのは、ジャオ氏が中国最高峰の北京大学出身で、帰国してもキャリア形勢が容易だったのに対し、ユエン氏は地方の無名大学出身であり、WebExの派遣でスタンフォード大MBAに通ったことも関係しているかもしれない。同氏はMBA在学中に起業の夢を抱いたが、勤務先の恩もあり、当面は退職できないと考えていたという。

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