トヨタ、燃料電池システムを外販 トラックや船舶など、水素活用を促進:製品開発をサポート
トヨタ自動車は、2021年春以降に燃料電池(FC)システムの販売を始める。FCシステムをパッケージ化したFCモジュールを開発。トラックや鉄道、船舶、発電機などへの展開を想定する。
トヨタ自動車は2月26日、2021年春以降に燃料電池(FC)システムの販売を始めると発表した。燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」などの技術を生かし、FCシステムをパッケージ化したFCモジュールを開発。トラックやバス、鉄道、船舶、発電機などへの展開を想定する。広く活用できるシステムを販売することで、水素エネルギーの普及につなげる。
同社は、MIRAIやFCバス「SORA」の販売、大型トラックなどへのFCシステム提供、FC関連の特許実施権無償提供など、水素活用の取り組みを進めてきた。さまざまな業界で技術の活用を模索する中で、多くの事業者が自社製品に適合させやすいFCシステムを求めていることが分かったという。
ニーズに対応するため、新型MIRAIに搭載したFCスタックや、エア供給・水素供給・冷却・電力制御などのFCシステム関連部品を一つにまとめたパッケージを開発した。定格出力は60kWと80kWの2種類で、それぞれに縦型と横型を用意。重さは約240〜250キロとなる。
電圧範囲が400〜750Vと広いことに加え、FC専用の昇圧コンバーターを内蔵したことによって、モーターやバッテリーなどを備えた既存の電気機器に直接接続できるようにした。汎用性を高めて、FC製品の開発や製造をより容易にできるようにしている。
また、FCVやハイブリッド車で培った技術を活用し、「水素を漏らさない」「万一漏れても検知して止める」といった対策も備えている。要望があれば、用途や使用期間などに応じた最適な配置や設計についてサポートする体制も整える。
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