1月以降も「毎日出社」が7割 緊急事態宣言でリモートワーク実施率は微増:実施率が伸びた職種は?
カオナビの調査によると、1都3県に緊急事態宣言が出た1月8日以降のリモートワーク実施率は24.6%。20年12月の状況と比べると微増だった。
1月8日に1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)を対象に出された緊急事態宣言は期間が延長され、現在も解除されていない。年末年始に新型コロナウイルスの感染者が急増したことで、企業にはリモートワークの推進が再び呼びかけられたが、実際に行動は変わったのだろうか。人材管理システムを手掛けるカオナビが3月3日に発表した調査結果によると、1月8日以降のリモートワーク実施率は24.6%。2020年12月と比べると、4ポイントの微増だった。
1都3県に緊急事態宣言が出された1月8日以降の出社状況について、全国の働く人に調査したところ、「毎日リモートワーク」が7.6%、「出社とリモートワークを併用」が17.0%。計24.6%がリモートワークを実施していた。一方、「毎日出社」が69.3%と多数を占めた。
緊急事態宣言が出される前の20年12月の状況を尋ねると、「毎日リモートワーク」「出社とリモートワークを併用」を合わせた実施率は20.4%。1月に約4ポイント増加したことになる。
なお、20年5月と8月に実施した調査では、5月のリモートワーク実施率が35.5%、8月は23.2%だった。再び毎日出社する人が増えていた8月や12月と比べると、1月のリモートワーク実施率は微増となっていることから、感染者数の急増や2度目の緊急事態宣言に対応した企業や個人もいたことが分かる。
1月8日以降のリモートワーク実施率を業種別でみると、リモートワークの環境を整えやすい「IT・インターネット」の実施率が64.2%と最も高かった。「マスコミ・広告」「金融」「メーカー」も約4割と高い傾向にある。一方、「流通」「サービス」「小売・外食」といった、対面での業務を基本とする業種では2割以下にとどまった。
職種別では、「営業職」(45.5%)、「事務系管理職」(44.7%)、「事務職・技術系事務職」(37.2%)の3職種でリモートワーク実施率が高かった。この3職種では、20年12月と比べた増加幅も大きい。また、20年12月の実施率が9.5%だった「公務員」については、1月8日以降に17.1%となり、7ポイント以上増加した。特に、緊急事態宣言が出された地域では「出社とリモートワークを併用」の割合が増えていることから、公務員も「『分散出社』が模索されていることが見受けられる」(カオナビ)という。
調査は1月26〜28日にWeb上で実施。20〜60代の有業者8716人(自由業・社長職を除く)が回答した。
関連記事
- リモートワーク普及で迫りくる「通勤定期券」が終わる日
大手企業などがテレワークの本格導入を進める中で、通勤定期代の支給をやめる動きも目立つ。鉄道会社にとっては、通勤定期の割引率引き下げや廃止すら視野に入ってくる。通勤に伴う鉄道需要縮小は以前から予想されていた。通勤しない時代への準備はもう始まっている。 - 「通勤」は減っていく? 東急の6700人アンケートから読み解く、これからの鉄道需要
東急は、アプリを通じて6760人に実施したアンケート結果を発表した。新型コロナの影響で在宅勤務などが広がり、鉄道の需要は低下。しかし、今後も定期券を更新する人は多く、転居しようとする人も少ない。通勤需要は元通りには戻らないが、ある程度回復しそうだ。 - 「上司の顔色伺い」は激減? テレワークでは通用しない“働かないおじさん”
新型コロナによって、多くの企業がテレワークや在宅勤務の導入を余儀なくされた。今後は新しい働き方として定着していくだろう。そうなると、上司と部下の関係も変わる。前例や慣習が通じない世界が待っている中、新しい上司部下関係を構築していく必要がある。 - 「毎日出社」が73.6% 8月の出社状況、最も「リモートワークをしていない」業種は?
カオナビの調査によると、8月、毎日出社していたビジネスマンは73.6%。緊急事態宣言下の5月の調査結果(58.5%)と比べて、15.1ポイント増加した。 - “出勤者削減”の目標を定めている企業は5割 目標値の平均は「7割」に届かず
労務行政研究所が発表した調査結果によると、今回の緊急事態宣言を受けて出勤者数の削減目標を定めている企業は5割にとどまった。在宅勤務を変更・拡充した企業は4割強だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.