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マツダ初の「MX-30 EV」 姿を現したフルスペックのGVC池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

マツダMX-30にEVモデルが追加された。これがいろんな意味で非常に面白いクルマだったので考察してみたい。「これこそがマツダのEVへの回答」と受け止める向きもいるかもしれないが、それは半分だけ正解で半分は不正解だ。

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姿を現したフルスペックのGVC

 さて、これらの上にモーター駆動力を持つクルマ用にさらに機能を追加したのがeGVCである。EVならではの回生ブレーキを使うことで、減速Gのレスポンスと量の制御精度が上がったことがひとつ。もうひとつは加速側での制御を使えるようになったことが大きい。ドライバーに違和感ないヨーコントロールにおいて、加速側で使おうとするとエンジンでは応答性が足りない。減速側は良いのだが、加速側で使おうとすると、GVCの求める微細領域でコントロールするにはエンジンは粗雑だった。違和感が消せない。だからGVCは減速のみでコントロールを行ってきたのである。

 しかし、モーターであれば微細領域のトルクコントロールが容易なため、GVCの制御を減速側だけでなく加速側でも使えるようになった。これこそが、GVCのフルスペックだ。どんな時にも思った通りに自然に曲がる能力を、eGVCはマツダの電動化にもたらしたのである。

 面白いほど自然に曲がる。システムの介入を感じさせず、まるで自分の運転が上手くなったかのようにキレイに曲がるクルマができた。筆者は「池田さんはいつもGVCを褒めるけど、効いているのかどうか全然分からない」と言われることが多いが、それでいいのだ。

 GVCは効いていることをドライバーに気取られたら負けなのだ。例えば何らかの悪条件が重なって、アンダーステアが出そうな状態でコーナーへアプローチした際も、それが結果に出ない。失敗してもそれを黒子のようにフォローする。それはマツダが長らく主張してきた「人馬一体」の新境地である。


フロントフードの中は、右側がスカスカ。ここにはやがてロータリーエンジンが搭載されてPHVになる模様。またバッテリーの温度管理のためにエアコンの高圧パイプが複雑に取り回されていることがよく分かる

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