スシローとくら寿司が東京で激突! はま寿司とかっぱ寿司は“脱回転” 業界の行方は?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
コロナ禍で回転寿司業界に大きな変化が起きている。スシローとくら寿司は、都心部に進出する。はま寿司とかっぱ寿司は、回転レーン上に寿司を流さない傾向を強めている。
小僧寿しが奇跡的に復活
持ち帰り寿司と言えば、小僧寿しの奇跡的な復活が話題になっている。小僧寿しは20年4月以降絶好調で、既存店売上高は上期(1〜6月)が111.3%、下期(7〜12月)が113.6%と通年で2桁増だった。
なぜ、小僧寿しと京樽で差がついたのか。郊外ロードサイド立地の小僧寿しに対して、京樽は都市型立地。京樽は商業施設の時短に大きく左右された。
しかし、小僧寿しの例からも立地を再考すれば、持ち帰り寿司はコロナに強く、将来を見据えたM&Aとして面白い。京樽には「茶きん鮨」のような名物もあり、根強い人気も魅力だ。
また、京樽店舗の3分の1ほどは、回転寿司「海鮮三崎港」や回らない激安寿司「すし三崎丸」。スシローの新業態で順調に約30店にまで店舗を伸ばしている、寿司居酒屋「杉玉」に転換すれば、成功しそうな店舗も多い。
京樽の買収に動いた背景には、スシローがテークアウトに注力していることが挙げられる。20年9月、兵庫県芦屋市のJR芦屋駅構内にテークアウト専門の実験店を出したところ、予想以上の反響があった。そこで、テークアウト専門店を「スシロー To Go」と命名し、今年は10店以上の出店を目指す。2月26日、千葉県我孫子市のJR我孫子駅構内に関東1号店を出店した。
また、スシローでは通常店舗での持ち帰りにも力を入れており、レジ横に非接触性が高い「自動土産ロッカー」を設置している。ネット、電話、FAXで注文を受け付けると、それに合わせて店員が寿司をつくりロッカーに保管。クレジットカードや店内セルフレジで精算後、注文者にQRコードを発行する。そのQRコードを使って開錠して、持ち帰る仕組みだ。感染リスクを恐れて店内飲食を躊躇(ちゅうちょ)する人でも、これなら安心というわけだ。
また、スシローは従来回転寿司が弱かった大都市の攻略に力を入れている。コロナ禍で都心の物件が空いたため、積極的に出店している。都市型店舗は駅から歩いて5分以内で、1皿が最低120円(税別)と通常より20円高い。そして、2段レーン(通常の回転レーンと注文専用レーン)を設置している。メニューも若干異なる。
20年は東京、大阪、名古屋などに13店オープン。今年は既に、2月に経堂店(東京都世田谷区)、3月に新宿三丁目店(東京都新宿区)がオープンした。
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