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「鉄道を盛り上げるボランティア」の報酬は何か 網走に学ぶ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(7/7 ページ)

JR北海道は、SL列車「SL冬の湿原号」を釧路側、「流氷物語号」を網走側と、2つの観光列車を東部で冬に運行している。しかし新型コロナの影響で「あばしりオホーツク流氷まつり」が中止。運行中止の恐れもあった「流氷物語号」の運行を後押ししたのはボランティア団体だった。その活動から、ボランティアの報酬について考える。

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 ボランティアには女子大生も2人参加していた。話してみると、彼女たちも鉄道が好きというわけではない。でも気持ちは高校生の彼と同じようだ。大勢の大人たちに交じって活動していくことで、気付き、得られるものがある。学校とも家庭とも違う、居心地よく成長できる場所が「MOTレール倶楽部の仲間たち」だ。

 「好奇心が旺盛な学生は、活動を通じて自律的に成長しています。年齢を問わず、教えあい学び合う環境や場面を意図的に作っています。流氷物語号がその実践例です。イラストを描くのが得意な人、写真や営業トークがうまい人、緻密な事務作業に優れた人、物事の方向性を見出すことに秀でた人など、鉄道が好きで、同じ目的を持った人たちが、互いの強みを持ち寄って行動するところがわれわれの強みだと思います」(石黒氏)

 会社員のような利害にひも付けられた関係ではなく、参加することで喜びを分かち合う集まり。そこに報酬はあった。ただし、それはお金では買えないものだった。


飲み会は楽しいだけではなく、社会性を培う場でもある

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


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