リクルート、Airブランドで法人カード参入 その狙いは?(2/3 ページ)
リクルートは飲食店向けのPOSや決済サービスのAirブランドを冠した法人向けのクレジットカード「Airカード」を1月に提供開始した。最大の特徴は、1.5%という法人カードの中では際立った還元率だ。還元ポイントの税務処理、法人以外の対象者など、疑問点を聞いた。
なぜ高還元にフォーカス?
実はリクルートがクレジットカードを出すのはAirカードが初めてではない。「リクルートカード」の名称で、JCBおよび三菱UFJニコスと連携し、一般向けのカードを提供している。こちらの特徴もずばり高還元だ。業界最高クラスとなる1.2%の還元を行っている。
「そもそも法人カードは大きな企業が使うもので、僕らには関係ないという認知の面が大きい。そこで認知を取って入会のきっかけにしてもらうには還元率が重要」だと、林氏は高還元を行う理由を話す。
ただしクレジットカードの高還元は、発行会社にとっては両刃の刃だ。クレジットカードは基本的には決済金額の一定率が発行会社に手数料として入る。そこから還元しなくてはならないからだ。
各社は手数料率を明らかにしていないが、業界や業態、事業規模などによって変わり、1〜10%程度といわれている。この手数料を、カードを発行するイシュアと、加盟店管理を行うアクワイアラで分ける形だ。さらに手数料の一部は、VisaやMastercardといった国際ブランドにも支払われる。
経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」の中で、現状のカード取引のコスト・収益構造を図解している。これによると、加盟店が支払う手数料の平均は3.24%。うち、0.94%がアクワイアラに、2.3%がイシュアに配分される。アクワイアラとイシュアはさらに合計0.01%を国際ブランドライセンスフィーとして払っているという構図だ。
このイシュアの取り分2.3%の中から、1.5%を還元することの厳しさがよく分かる。
「リクルートカードを運営しているので、1%以上の還元率を付けるのがなかなか難しい状況なのは分かっている。だが普通にある法人カードを見ると、保険などが充実しているので、そこを一定量削って、その分を還元率に寄せる。それをJCBの協力のもと実現した。単体としてサービスを実現する前提として提供しているが、これによってAirサービスとつながっていいけばいい」(林氏)
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