リクルート、Airブランドで法人カード参入 その狙いは?(3/3 ページ)
リクルートは飲食店向けのPOSや決済サービスのAirブランドを冠した法人向けのクレジットカード「Airカード」を1月に提供開始した。最大の特徴は、1.5%という法人カードの中では際立った還元率だ。還元ポイントの税務処理、法人以外の対象者など、疑問点を聞いた。
還元は個人が持つリクルートIDに
還元の仕組みは少々複雑だ。Airカードを発行する際には、各AirサービスとひもづくAir IDを取得する必要がある。その上で、Airカードと個人が持つリクルートIDを連携させる。リクルートIDに貯まるリクルートポイントは、Pontaポイントと等価でリアルタイム交換が可能になっており、実質的にPontaポイントの扱いだ。つまり、Airカードを事業に使うと、ひも付いた個人にポイントが貯まるという構造になっている。
通常、法人カード自体に付与されたポイントは、法人の資産とみなされ、会計上もその形で処理される。例えば、ポイントを使ったときに同額の値引きを受けたとして仕訳を行ったり、ポイント相当額の収入を得たとして雑収入として処理したりするやり方が一般的だ。
一方で、法人カードを使った場合でも個人にポイントが付く場合がある。出張時など航空機搭乗時のマイレージが代表例だ。法人カードで支払われても、マイルが付与されるのは搭乗した個人に限られるからだ。
この個人に付与されたマイルの扱いは、法的な定めはなく、会社が定めた就業規則に則って処理するのが一般的だ。そしてほとんどの会社では、個人の自由として会社は関知しないとしている。
Airカードの規約では、ポイントの処理方法については顧問税理士に相談してほしいとしているが、中小店舗では経営者自身がカードを保有することもあり、実態としてはマイルの扱いに近いのではないかと想定される。つまり、個人カードで事業の経費を使って、ポイントを得るのと同じだということだ。
法人経営者だけでなく個人事業主も対象
Airカードは正確にはビジネスカードと呼ばれ、法人以外の個人事業主でも申し込みが可能だ。特に開業届などを出していなくても、副業などで継続的に事業からの収入を得ていれば対象になるという。また、起業直後であっても制限はなく、いわゆる「総合的な判断」によって発行の可否が決まる。
発行開始から約1カ月が経ち、「当初は計画値に届かないで推移していたが、3月に入って伸びている」(林氏)という。ポイントサイトには、5万円相当額以上の還元がされるキャンペーンが登場してきており、そうしたキャンペーンも効果を発揮しているようだ。
当初は、「リクルートビジネスカード」という名前でもいいのではないか? という議論もあったというが、カード単独ではなく、Airビジネスツール全体としての視点から「Airカード」という名称に決めた。
ゴールド以上が当たり前で、プラチナなどハイステータスなカードも数多い法人カード。法人カードでよくある旅行保険や空港ラウンジなどのサービスを削り、Airカードは還元率にフォーカスした。これまで法人カードに関心のなかった層を掘り起こせるかに注目だ。
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