ルネサス火災の真相は? セキュリティ関係者が疑っている「こと」:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
半導体大手「ルネサスエレクトロニクス」の那珂工場で火災が発生した。火災の原因はまだ明確になっていないが、セキュリティ関係者の間で疑っていることがある。それは……。
「謎」が残る
現在、半導体の分野で日本などと競争をしているのは中国である。最近明らかになった2021〜25年の5カ年計画でも「習近平(シー・ジンピン)国家主席は昨年9月の会議で『我々は(半導体など)弱点の技術問題に直面しており、基礎分野の遅れが根っこにある』」(日本経済新聞)と語ったという。半導体分野は中国のテクノロジー戦略にとって最重要の一つで、25年に中国が技術大国になると定めた「中国製造2025」でも、今回の5カ年計画でも力を入れていくと取り上げられている。
とはいえ、なかなか半導体の生産技術が追いつかないなかで、中国も米国からの制裁措置で半導体確保に苦しんでいる状況がある。
中国との関係性から、今回の火災は何か普通ではない動きはなかったのか。関係者に水を向けると「(ルネサスは)中国とも取引を行なっていて、工場の生産が止まると中国企業も打撃を受ける。中国がそんな損害を受けることを分かっていて放火などをしてくるとは考えにくい」と言う。
もちろん、ライバル国で、米国や同盟国などといろいろな分野で対立しているとはいえ、なんでもかんでも中国の責任にするのはよくないが、ただ国際情勢や経済問題などを鑑みると、中国への疑念がわき上がっても正直、不思議ではない。それほど、中国は世界的に台頭し、存在感を増しているということだ。
もっとも、放火の可能性はなさそうだが、だからといって安心できるわけではない。というのも、すでに述べた通り、今のところ今回の火災には、まだ「謎」が残っているからだ。それは「なぜ過電流になったのか」というのと、「なぜ火災時に落ちるはずのブレーカーが作動しなかったのか」ということだ。
これについては今後、じっくりと調査が進められることになるだろう。だが、サイバーセキュリティ関係者なら、まず疑うのはそれらがデジタルで制御されていなかったのか、ということだ。先端技術を扱う工場であれば、制御装置で生産ラインなどはコントロールされていることが多いからだ。
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