クルマが持てなかった人にローンを クルマの遠隔制御で金融包摂を目指すGMS(1/2 ページ)
仕事に必要なクルマが欲しいがローンの審査が通らない。クルマの遠隔制御技術を活用することで、こうした人にもローンを提供する仕組みを提供しているのがFintech企業、Global Mobility Service(GMS)だ。
世の中には、クルマが必要でも買えない人たちがいる。これは趣味やレジャーのためのクルマではなく、通勤や仕事のためにクルマを必要としている人たちの話だ。国内でも、地方においてはクルマは日常の足として必須だが、ローン審査を通らずにクルマを持てない人が200万人もいるのだという。
その理由は、金融機関のローン審査が就業状況や年収などを元にした属性ベースで行われているからだ。Fintech企業、Global Mobility Service(GMS)は、金融機関に審査の追加となる情報を提供。これまで金融にアクセスできなかった人たちにファイナンスサービスを提供することを目指している。
GMS中島徳至社長は、「われわれは世界の17億人を救う金融包摂型のFintechサービスを提供する。SDGsの中でも、貧困という課題を解決して、収益を生み出し、サステイナブルな事業を生み出すことを目指す」と話す。
ローン中の自動車を遠隔制御
従来、審査を通らなかった人にどうやってローンを提供するのか。その秘密はクルマを遠隔地から制御する技術にある。
ローンで購入するクルマにGMSのデバイスを組み込む。これによって、センサーで状況を把握しながら、遠隔地からエンジンを停止することが可能になる。「安全を確認した上で、クルマを動かなくできる。普通車、軽自動車、バス、あらゆるモビリティの制御が可能だ」(中島氏)
これにより、ローンを提供した金融機関は、返済が滞ったらすぐに自動車を止められる。通常は返済が滞っても、利用者は3カ月から6カ月は自由にクルマを乗り回してしまうことが多かった。利用者は返済の意思もないのでクルマの劣化も進む。ところが、すぐにクルマを動かなくできればクルマも傷まず、再販価値も下がらない。これによって、ローンのリスクを抑えることができる。
実際、GMSの仕組みを使ったローンの未払い率は1%を切るという。
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