コロナ禍で増えている「オフィスの引越し」、その段取りとチェックリスト:トラブルを防ぐ(4/4 ページ)
テレワークなどにより社員の出勤が減り、オフィスの引越しが増えています。オフィスの引越しは一大プロジェクトであり、入念な準備と効率的なオペレーションを必要とします。スムーズにオフィスの引越しを成功させる段取りとチェックリストを紹介します。
(1)移転時の連絡先リスト
移転に際して、得意先はもちろんのこと、図表1のような取引先にも住所変更の連絡をします。
(2)社内書類・Webサイトなどの住所変更リスト
社内には、旧住所や電話番号を使用したものがたくさんあります。移転後に慌てないよう準備しておきましょう(図表2)。
また、会社のWebサイトには、移転の1〜2カ月前からオフィスの移転告知を掲載し、移転後は速やかに新住所・電話番号などの変更点を更新できるよう準備しておきます。
(3)関係省庁などへの届け出リスト
各関係省庁への提出書類について、主なものを挙げます(図表3)。チェックリストも確認しながら、漏れや遅延がないように気を付けましょう。
・法務局(登記所)
本店(本社)移転の場合は、株主総会(定款の変更が必要な場合)、もしくは、取締役会(取締役会を設置している場合)を開催し、議事録を作成のうえ、その他必要な資料とともに、本店移転の登記申請書を、管轄法務局に申請します。提出期限は移転日から2週間以内です。
支店(支社)移転の場合は、支店移転の登記申請書を管轄法務局に、移転日から3週間以内に申請します。
移転により管轄法務局が変わる場合、移転先の管轄法務局にも申請します。
・税務署
「異動届出書」「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の手続きが必要です。移転前の管轄税務署で届け出を行います。「異動届出書」は移転後速やかに、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」は、移転日から1カ月以内に提出します。
・都道府県税事務所
所定の届出書を都道府県税事務所に提出します。都道府県によって、届出書の様式や提出期限が異なりますので、各自治体のサイトなどで確認してください。
・市区町村役場
所定の届出書を役場に提出します。市区町村によって、届出書の様式や提出期限が異なりますので、各市区町村のサイトなどで確認してください。
・日本年金機構
「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を、移転日から5日以内に、電子申請・郵送・窓口持参いずれかの方法で、事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。これまでの年金事務所が管轄する地域外へと移転する場合は、「変更前」の所在地を管轄する年金事務所が提出先となりますので注意してください。
・労働基準監督署・公共職業安定 所(ハローワーク)
事業所所在地の変更があった翌日から10日以内に、「労働保険名称、所在地等変更届」を、新事業所を管轄する労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。
その後、「労働保険名称、所在地等変更届」の控えおよび確認書類を添えて「雇用保険事業主事業所各種変更届」を、移転後の所在地を管轄する公共職業安定所に提出します。
・郵便局
「転居届」を、移転前の所轄郵便局へ提出します。提出の際には、届出人と法人の関係性が証明できるような社員証や健康保険証が必要です。
届出期間に定めはありませんが、郵便物がスムーズに届くよう、転居先が決まったら早めに提出しましょう。
・消防署
収容人数や条件により、防火管理者の専任が必要な場合は、「防火・防災管理者選任(解任)届出書」を新オフィスの所轄消防署に、移転後遅滞なく提出します。
・警察署
社有車がある場合は「自動車保管場所証明申請書(車庫証明書)」を、新オフィスの所轄警察署に速やかに提出します。
著者紹介:松本 宰(まつもと・おさむ)
SUVACO株式会社/執行役員・編集長
オフィスのレイアウト・内装デザイン、ICTソリューションに至るまで、さまざまな経営課題を解決するオフィスづくりをサポートする「Offi-Suvaco」(オフィスバコ)を運営。
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