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スマホ捨て自給自足、ファーウェイの「抗日戦争」を読み解くキーワード<ファーウェイの現在地・下>浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(7/7 ページ)

2018年にスマホ出荷台数で世界シェアで2位となったファーウェイ。20年はアップルに抜かれて3位、21年は中国メーカー4社に抜かれて7位となる見通しだ。同社は生存のため、抗日戦争に由来する「南泥湾プロジェクト」に着手した。ファーウェイ特集の最終回は、「脱スマホ」「脱アメリカ」の鍵となるキーワードを紹介する。

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 ファーウェイは、スマートフォン事業からは撤退しないと言明している。だが、半導体の調達規制によって生産を封じられており、出荷台数がこのまま減少すれば、スマートフォンメーカーとしての色は薄れ、新事業の開拓なしに生き残りは図れない。

 ただ、「スマートフォンはICT端末の1つに過ぎない」というファーウェイ幹部らの発言は、長期的に見れば正しい指摘だろう。中国IT大手・バイドゥ創業者の李彦宏CEOは19年、中国国営テレビの新年特別番組に出演し、「人工知能(AI)時代の到来で、スマートフォンは20年以内に消える。今、スマートフォンがやってくれていることの多くを、家電などに搭載されたAIがやってくれるようになる。そうすれば、もう手元にスマートフォンを置く必要はないだろう」と持論を語った。


深センにあるファーウェイ本社のIoT家電ソリューション部署。家電に搭載する予定だった独自OS「ハーモニーOS」は、米国の規制を受け、スマートフォンにも搭載されることになった

 トランプ大統領はファーウェイをグローバルの舞台から排除しようと目論んだが、それは同社を「スマートフォンの次の時代」へ向かわせることとなった。短期的に力を削がれても、持久戦を持ちこたえ、米企業のサプライチェーンに頼らない企業に“進化”する可能性も残っている。

筆者:浦上 早苗

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37

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