想定の5倍以上! なぜデロンギのサブスクは「受付→停止」を繰り返すのか:水曜インタビュー劇場(コーヒー公演)(4/6 ページ)
デロンギ・ジャパンのサブスク「ミーオ!デロンギ」が売れに売れている。受付を開始したところ、すぐに完売。再開しても、すぐに完売。注文が殺到しているようだが、なぜこのようなことが起きているのか。同社の担当者に話を聞いたところ……。
初日は閑古鳥が鳴く
土肥: 試験的に始めたサブスクはうまくいかなかった。紆余曲折があって、いまの形のサービスを20年11月25日にスタートしたわけですが、お客の反響はどうでしたか?
木村: 初日は、閑古鳥が鳴いていました(キッパリ)。サービスを始める前に、家族や知り合いに聞いてみたんですよね。「今度、こんなサービスを始めようと思っているけれど、どうかな?」と。すると、全員が「お、いいね!」「オレも始めたいよ」といった声が返ってきました。周囲の人たちからは好意的な声をもらっていたので、自分も「大丈夫。これは絶対に売れる!」と信じていたのですが、サッパリでして。不安を感じたので、親に電話をして「ちょっと加入してくれないかな」とお願いしたほどでした(笑)。
しかし、2日目、3日目にはたくさんの注文が入りました。想定の5倍以上の注文があったので、12月1日には新規受注を停止することに。
土肥: 当時のリリースを見ると、「サービス開始に際して十分な在庫を準備しておりますが……」と書いている。そもそもの想定が低かったのでは?
木村: 新型コロナの感染拡大を受けて、家で生活を送る人が急増しました。カフェに足を運ぶことはなかなかできない、缶コーヒーでは満足できない。そうした状況のなかで、「自宅でおいしいコーヒーを飲みたい」といった人が増えてきたのではないでしょうか。
あと、誤解していただきたくないのですが、このサービスは全自動マシーンを送れば終わりではなく、定期的にコーヒー豆を届けなければいけません。契約者の数が増えれば、豆の数も増える。豆の数が増えれば、物流体制も強化しなければいけない。また、全自動マシーンは世界的に需要が高まっているので、「日本に送ってください」とお願いしても、すぐに届かないといった事情もあるんですよね。
土肥: 全自動マシーンとコーヒー豆の確保、物流体制の強化といった課題があったわけですが、その問題を解決して、今年の2月15日に再スタートしたわけですね。それまで、会社ではどのようなことが起きていたのでしょうか?
木村: お客さまから注文が殺到したので、ものすごい需要があることは分かりました。ただ、いまは奇跡が起きているのかもしれないので、できるだけ早くサービスを再開しなければいけないと考えました。数カ月経つと、このサービスの存在を忘れられるかもしれませんし、信頼もなくすかもしれません。そんな不安があったので、できるだけ早く再開したかったのですが……。
土肥: 再開するまで、2カ月半ほどかかりました。それは、なぜですか?
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