想定の5倍以上! なぜデロンギのサブスクは「受付→停止」を繰り返すのか:水曜インタビュー劇場(コーヒー公演)(6/6 ページ)
デロンギ・ジャパンのサブスク「ミーオ!デロンギ」が売れに売れている。受付を開始したところ、すぐに完売。再開しても、すぐに完売。注文が殺到しているようだが、なぜこのようなことが起きているのか。同社の担当者に話を聞いたところ……。
イノベーションのないサブスク
木村: コーヒーメーカー業界の市場シェア(2019年)を見ると、1位は当社なんですよね。ということは「コーヒーマシーンを買うのであれば、デロンギ製がいいよね」という人がたくさんいるのではないか。その一方で、「買いたいけれど、価格が高いから難しいよね」という人もいるのではないか。そうした人たちに向けて、一括購入だけでなく、オプションを提示できたことがよかったのかなあと。
話はちょっと変わりますが、「家は買うべきか、借りるべきか」といったテーマって盛り上がりますよね。「いまは金利が安いので、家は買うべき」という人もいれば、「自由に住み替えたいので、借りるほうがいい」という人もいる。「ミーオ!デロンギ」のサービスも、家は買うべきか借りるべきかといった“鉄板ネタ”のような論争にしたかったんですよね。
土肥: ふむふむ。確かに、SNSを見ると、そのような論争になっていますよね。電卓を使って計算している人の姿が浮かびますので。ちなみに、デロンギは海外で、サブスクを展開しているのでしょうか?
木村: いえ、日本だけですね。
土肥: となると、今回の試みが成功すると、海外に“輸出”することができるのでは? “生みの親”として、スターになれますね。
木村: 当社は「サブスク」という表現を使っていますが、このサービスって定期便に近いですよね。やっていることは、“イノベーションのないサブスク”。しかし、利用者にはそこがウケたのかもしれません。
(終わり)
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