国内に75万室! 供給過剰のビジネスホテル インバウンド消失で生き残る策はあるのか:コロナ禍だけが原因じゃない(1/5 ページ)
ホテルが供給過剰? コロナ禍でインバウンド消失、国内需要も激減とあっては当然のことと思われるだろう。しかし筆者は、供給過剰というワードは、コロナ禍ではなく“コロナ禍前の状況”を表していると指摘する。
ホテルが供給過剰? コロナ禍でインバウンド消失、国内需要も激減とあっては当然のことと思われるだろう。しかし供給過剰というワードは後述の通り、コロナ禍ではなく“コロナ禍前の状況”を表している。コロナ禍前のホテル業界といえば、訪日外国人旅行者が激増し、出張族からも“ビジネスホテルが取れない!”という恨み節が続出していた。観光立国という名のもとに、政府が6000万人を目標とするほど「インバウンド活況」というワードもメディアをにぎわせた。
そもそも訪日外国人旅行者の増加傾向が顕著になったのは2013年頃と記憶している。同年は訪日外国人旅行者数が初めて1000万人を突破した年でもある。訪日外国人旅行者が増加していった政策や経済情勢などはここで触れないが、その後の増加も著しく16年には2000万人、18年末には3000万人と次々と記録を塗り替えていった。
さまざまな業界でインバウンド活況が商機と捉えられたが、なかんずく観光業界は大いに盛り上がり、一丸となってインバウンドの取り込みに走っていたことはあらためて指摘するまでもないだろう。
当然、宿泊業界もこの流れに呼応するかのような動きがみられ、当然のごとく次々とホテルの新規計画が立ち上がった。東京オリンピックへ向けての鼻息も荒く、ホテルや旅館ばかりではなく宿泊需要を補完する意味合いでレジャーホテル(ラブホテル)の一般ホテル化や民泊もフォーカス、行政のバックアップ体制をはじめ法律の整備もなされていった。
メディアでも“ホテル大活況時代”と大々的に報じられ、開業するホテルのニュースは日常茶飯事であった。当時の菅義偉官房長官が19年末に“日本に高級ホテルを50軒作る”と語気を強めた記者会見も思い出される。
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