国内に75万室! 供給過剰のビジネスホテル インバウンド消失で生き残る策はあるのか:コロナ禍だけが原因じゃない(2/5 ページ)
ホテルが供給過剰? コロナ禍でインバウンド消失、国内需要も激減とあっては当然のことと思われるだろう。しかし筆者は、供給過剰というワードは、コロナ禍ではなく“コロナ禍前の状況”を表していると指摘する。
インバウンド活況と現場の声には相違が
話は変わるが、筆者はこの記者会見について、当時雑誌やWebなどのメディアへ寄稿し疑問を呈した。「ホテルの激増で業界は人手不足に陥っており”ハード・ソフトそしてヒューマン”といわれるホテルにあって、それなりの規模といえる新規高級ホテル50軒のサービスを補完できるのか」という問いであった。さらに「インバウンド依存の危険性」についても17年5月に初めてメディアへ寄稿していた。無論、インバウンドに沸く業界関係者からはひんしゅくを買ったわけであるが、何も思いつきで筆を走らせた(キーボードをたたいた)わけではない。
ホテルの新規開業は18年後半ごろから一気にラッシュとなった。ホテルの開業までに要する期間を考えると15〜16年にスタートしたホテル計画が具現化したと捉えらえられる。
まさに、13年に1000万人、16年に2000万人を突破した訪日外国人旅行者激増に呼応するかのようにホテルプロジェクトは立ち上がっていったが、激増した訪日外国人旅行者と計画から開業まで数年を要するホテルプロジェクトとの時差(ミスマッチ)も指摘した。需要が逼迫してもおいそれと開業できないのもまたホテルである。
年間270軒ほどのホテルへチェックイン、ビジネスホテルの現場も多く見てきた中で、メディアで拡散されるインバウンド活況のニュースと宿泊現場の声との落差には違和感を抱いていた。特に17年に入った辺りから、宿泊特化型といわれるビジネスホテルのカテゴリーについて「このままで本当に大丈夫だろうか……」という事業者の声がよく耳に入るようになった。他方、前述の通りインバウンド活況を受けてホテルプロジェクトは急増していった。ビジネスホテルは開業までのハードルが低い業態であり、そのボリュームはますます拡大していく。
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