限りなく近づいた自動運転の時代:池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/7 ページ)
トヨタは従来のADAS(高度運転支援システム)を一歩進めた先進運転支援システム「Advanced Drive(アドバンスト・ドライブ)」を、トヨタブランドの燃料電池車(FCV)のMIRAIと、レクサスブランドのハイブリッド(HV)LSに搭載車を設定した。
Advanced Driveのショートインプレッション
さて、最後にAdvanced Driveの印象はどうだったか? その詳細については、すでにトヨタの公式動画がYouTubeに上がっているし、モータージャーナリストの動画もどんどん上がっていくだろう。何ができるのかを把握するのはそれらを見てもらった方が早い。筆者も一応、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」用に作動場面の収録だけはしておいたけれど、総論の議論動画は未撮影なので、アップが何時になるかはまだ全然わからない。申し訳ない。
さて、運転免許が要らないタイプの自動運転、いわゆるロボタクシーへの道は険しい。技術だけでなく法規制や社会システムとの整合性など一筋縄ではいかないハードルがたくさんある。しかしドライバーとシステムが相互に補い合いながら、高速道路を走ることに限れば、もう実現は目前まで来ているといえる。
高速道路の自動運転に肉薄した一つの例が、今回のAdvanced Driveだと思う。筆者が乗ったのはMIRAIの方で、LSには乗っていない。その印象は、一言でいえば「マイ新幹線」だ。静粛性やシートのクオリティ、オーディオの音質なども加味すれば、グリーン車以上といえるだろう。
今回乗っていないLSはちょっと分からない。以前乗ったベース車両のシャシーの出来はMIRAIほど良くなかった。具体的には、直進時に常に横方向加速度が発生する。そういう意味では多分、少々皮肉な意味で、より新幹線っぽい。それが今回直っているのかどうかが注目点だが、正直あまり期待はしていない。そのうち試してみようとは思っている。
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