ポルトガル2.5国分の電力を消費するビットコイン 仮想通貨の脱炭素化はなるか?(3/3 ページ)
ビットコインが大量の電力を消費することはよく知られている。その量は1260億kWh以上。実にポルトガル2.5国分以上、アルゼンチン1国分に相当する電力だ。一方で、世界は今、脱炭素化、カーボンニュートラルに向けて急速に動いている。
ビットコインの消費電力を減らすことはできるのか?
このように一口に仮想通貨といっても、取引を承認する仕組みの違いによって消費電力は大きく異なる。どんな用途で使われるか、取引の承認において何を重視するかで、承認の仕組みも違ってくるからだ。
しかし脱炭素を目指すには、これはジレンマをもたらす。ビットコインのようなPoWにおいて、マイナーは利益追求のためにできる限り安い電力源を使おうとするからだ。そして安い電力は往々にして石炭などで発電したものになる。さらに、ビットコインを使うユーザーに脱炭素化への意識があっても、マイナーに対して電力源を移行するような影響を与えられない。
この状況が変わる一つの可能性は仮想通貨へ投資する機関投資家の動きだ。現在、欧米を中心に機関投資家による仮想通貨投資が急激に増加している。そして機関投資家の間で指針の一つとなっているのが、環境などに配慮した投資先を選定するESG投資の流れだ。
「機関投資家はESG投資の動きがある中で、暗号資産に関してもサステイナブルなものに投資していく動きが確実に起こる」と吉川氏。機関投資家のマネーが流入することで、脱炭素を意識した仮想通貨の価値が上がる可能性があると見る。
また、仮想通貨関連サービスの開発者コミュニティでも、脱炭素などの動きが始まっている。「暗号資産を活用したサービスを開発する人たちの間では、よりサステイナブルな暗号資産を元に開発したいというモチベーションが出てきている。開発者のチャットルームでもサステナビリティは重視されている」(吉川氏)
世の中が脱炭素に向けて動く中で、膨大な電力を消費するビットコインには批判の声も挙がっている。果たして仮想通貨の脱炭素化は進むのだろうか。
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