キリンVS. アサヒ 自宅の「あわ」を制するのは、どっちか:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
2021年上半期の流行語大賞は「あわ」ではないか。そう感じさせられるほど、キリンとアサヒがビールの「あわ」にこだわっているのだ。どういうことかというと……。
キリンの「ホームタップ」は好調
ドラフターズのサービスは、5月25日に始まる。申し込みは4月7日からで、初年度の上限は3万人。どのくらいの人が申し込んだのか、担当者に聞いたところ「受け付けが始まって、5日間で1万人を超えた」という。月の上限は数千人なので、いきなり“飲めない”人がたくさん出てきそうだ。
気になるのは、グラスに注がれる「あわ」の具合である。業務用サーバーをベースにつくったというが、どこまできめ細やかな「あわ」を再現しているのだろうか。筆者は試飲したところ、「うーん、分からない」。きめ細やかさが分からないのではなく、店で出される生ビールとの違いがよく分からなかったのだ。ただ、自分の味覚が偏っているのかもしれないので、ぜひどなたかに“目隠し調査”などを行っていただきたい。
話は変わる。ビールのサブスクといえば、キリンビールの「ホームタップ」がある。月額料金は4リットルコースが8250円〜、8リットルコースは1万2430円〜と、2つのコースを用意。ビールは「一番搾りプレミアム」などから選べるようにしている。最近、テレビCMを流しているので、「白い箱からビールが出てくるやつね」と思った人も多いかもしれない。
実はこのサービス、始めたのは2017年6月のこと。大々的なPRをせずにスタートしたものの、申し込みが殺到。専用サイトで受け付けていたが、つながりにくい状況が続き、申込者からは不満の声が出ていた。その後、再開したものの、「さまざまな対応に遅れ」が出て、受付中止に追い込まれたのだ。
「さまざまな対応に遅れ」が出たというが、どんなことが起きていたのか。3つの出来事があって、1つめはECサイトのサーバ容量が不足していたこと。2つめは、ビールの製造が追いつかなかったこと。この2つの問題はクリアーしたが、最大のネックはアフターケアである。
業務用のサーバーに何か不具合が生じても、担当者が現場にかけつけてなんとかすることができるが、自宅は違った。「使い方がよく分からない」「ビールサーバーのガスが漏れているのではないか」といった声に対して、手がなかなか回らなかったのだ。
当時の事業担当者によると「1000人にご利用いただくと、1000通りの問題が出てきた」そうだが、さまざまな課題を一つずつ解決していく。そして、2020年。コロナ禍の巣ごもり需要を受け、一時は8カ月待ち。今年は現在の会員3万人から10万人を目指すという。
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