女子アナのステマ疑惑に揺れるフジテレビ グレーなステマの難しさ:専門家のイロメガネ(3/5 ページ)
フジテレビが揺れている。テラスハウス出演者に対する誹謗(ひぼう)中傷、放送法の外資規制違反と続き、そして新たに出てきた問題が、女子アナによるステマ疑惑だ。フジテレビの女子アナが、自身のインスタグラムのアカウントで投稿している内容や美容室がアカウントに登場していることはステマにあたるのではないか?
「関係性の明示」とは何か
ではどうすればよかったのか。冒頭で書いた通り「関係性の明示」を徹底すればよかった。そしてそれをフジテレビが厳しく管理・指導していればよかった、ということになる。
「関係性の明示」は文字通り、どのような「関係性」なのか、それを「明示」すればいい。お金をもらったのか、無料で利用したのか、どちらにせよその旨を書くか、便益表示タグと呼ばれる「AD」「広告」「PR」などの表記をすればステマと騒がれることはなかった。あるいは広告ではなく、友人や知人のお店に無料招待されたならば、友人に招待されました、といった説明でもおそらく問題はなかっただろう。
このあたりは法律で決まっていないことからグレーゾーンになるが、「関係性の明示」というステマか否かを分ける部分で考えれば、お金をもらったのか、サービスを無料で受けたのか、知人・友人のお店で招待を受けたのか、あるいは好きな商品やお店を紹介しただけなのか、どれに該当するかを明記して疑われないようにすればいい。
今回もう一つ問題になっている「美容室のSNSアカウントへの出演」については、商用のアカウントには出ない、友人のアカウントに映り込む際も宣伝を意図したものではないことを確認する、あとから宣伝やビジネスに関わる内容だと分かったら女子アナ自ら削除を要請させる、といったところだろうか。
「ステマ疑惑」というやっかいな問題
今回のステマ疑惑の話を聞いた際に、筆者が驚いたのは女子アナによるステマうんぬんよりも、前述の通りステマと疑われないためのルールを作っていなかったのか? という部分だ。
例えば女子アナとして仕事をしていれば、仕事に関わることを自身のSNSアカウントで投稿することはあるだろう。それが出演する番組の内容であればステマと指摘されることはない。
フジテレビの女子アナであれば皆知名度が高いことから、番組に関する宣伝をしてもそれは自身の仕事を宣伝している、つまり「この番組は私が出演するフジテレビの番組で、お金をもらって宣伝しているわけではありません」などと説明する必要はない。「関係性の明示」は明らかだからだ。
一体何の話だ? と思った人も多いと思うが、ここも実はステマで広大なグレーゾーンとなっている部分だ。
過去には吉本興業のミキというお笑いコンビがステマ騒動で問題になったことがある。京都国際映画祭を盛り上げる仕事について、二人がTwitterでつぶやいたところ、広告やPRといった表記がないことからステマとして指摘され、大炎上した。
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