女子アナのステマ疑惑に揺れるフジテレビ グレーなステマの難しさ:専門家のイロメガネ(4/5 ページ)
フジテレビが揺れている。テラスハウス出演者に対する誹謗(ひぼう)中傷、放送法の外資規制違反と続き、そして新たに出てきた問題が、女子アナによるステマ疑惑だ。フジテレビの女子アナが、自身のインスタグラムのアカウントで投稿している内容や美容室がアカウントに登場していることはステマにあたるのではないか?
吉本はステマをやっていない
筆者はこの問題を他誌で取り上げたが、結論としてはシロだ。実際、住民がこの件を違法行為として訴えていた裁判では、京都地裁が4月23日、住民の訴えを避ける判決が出たばかりだ。それにもかかわらずステマとして炎上した理由は、ミキや吉本興業が映画祭の宣伝に関する業務を委託されていることを、単純に多くの人が「知らなかった」からだ。ステマとして報じた京都新聞ですら、「吉本興業が京都国際映画祭を応援」という記者会見を記事にして報じていた。
吉本と京都市の炎上騒動は、「関係性の明示」が隠されていたのではなく、分かりにくかったわけでもなく、単純に多くの人が「吉本が映画祭の宣伝を請け負っていることを知らなかった」ことがステマと非難された真相だ。もっと有名な芸人で映画祭のCMや広告が大量に流れていれば問題にすらならなかっただろう。
「関係性の明示」というステマかどうかを分ける根本的なルールですら、SNSならば投稿のたびにADとかPRと明記しないといけないのか、それとも多くの人が知っていれば省いていいのか、それすら決まっていないあやふやな定義ということになる。
さらにいえば、よく使われる「AD」という表記すらこれが広告だと全ての人が分かるのか? PRに至っては日本語訳は広告ではなく広報だからそれでもいいのか? など、現在の自主規制もさまざまな問題や矛盾をはらんでいる。
つまりステマはそれ自体が問題行為で、法律がないことからステマとそうでないモノの線引きが不明瞭だ。この2つの問題が混在して余計にややこしくなっている。これが「ステマ疑惑」という、ステマよりもさらにやっかいな問題を生む原因になっている。
ステマを厳密に考え始めると、例えば筆者はファイナンシャルプランナーとして個人向けに相談を提供しているが、自身の仕事をSNSで宣伝するたびに広告とかPRと書かないといけないのか? ということになってしまうのが現状だ。
テレビ局の社員である女子アナや芸能事務所に所属するタレントはただでさえ注目され、知名度の高さからアンチも多いことからステマ疑惑をかけられる立場にある。悪意を持った人がステマだ! といえばそれが事実でなくとも広まってしまうリスクもある。
このようなステマ疑惑を避けるためにはどうすればいいか? 答えは簡単で、フジテレビならば自社で独自のルールを作り、それを公表すれば良いだけだ。
女子アナに必要なSNSのルール
例えばSNSのアカウントで友人・知人のお店を応援する程度なら特に問題ないとフジテレビが判断するのなら、応援の際の書き込みには友人や知人のお店であることを明記させるか、あるいは「#応援」など、ハッシュタグを明確に決めて投稿の際には必ずつけるようにルールを作ればいい。
番組に関わる書き込みならば#に番組名をつけたものを投稿する、単純に自分の気に入った服やゲームを紹介するならば「#趣味」とつけて投稿する、といった具合だ。
そしてそのようなルールで運営していることを、フジテレビは公式サイトで明確にする。当然のことながら、広告やPRとつけたところで、金品をもらうことは副業としても許されない。友人や知人のお店でも無料招待を受けた場合は宣伝禁止、とした方が無難だろう。
これでステマを必ず防げるモノではないが、違反した場合は懲戒解雇もあり得ると就業規則で決めておけばかなり強い抑止効果にはなるだろう。
もちろんこういったルールでも、毎日「#応援」とか「#趣味」と書きながら誰も知らないようなお店や商品を紹介していたら、あまりに不自然な行動になる。ルールの運用にもそれなりに工夫が必要になるだろう。
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