内燃機関から撤退? そんな説明でいいのかホンダ:池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/8 ページ)
ホンダは新目標を大きく2つに絞った。一つは「ホンダの二輪・四輪車が関与する交通事故死者ゼロ」であり、もう一つは「全製品、企業活動を通じたカーボンニュートラル」。そして何より素晴らしいのは、その年限を2050年と明確に定めたことだ。ホンダは得意の2モーターHVである「e:HEV」を含め、全ての内燃機関から完全卒業し、EVとFCV以外を生産しない、世界で最も環境適応の進んだ会社へと意思を持って進もうとしている。
Q 19年後には内燃機関とHVの技術を止めるというプランだが、今後開発をどう進めていくのか?
A まず40年100%に向けての達成技術というようなところを言いますと、昨日自工会の豊田章男会長が、e-fuelの話をされたと思いますが、ホンダのスタンスも特定技術に対して決め打ちしてシナリオを描かないというのがあります。
やりたいのはEV何パーセントということではなくて、CO2をある時点までにいくつまで下げるということが最終的な狙い所です。そういった意味では技術はいかようにも進化していくので、あまり特定の技術には決め打ちしない。逆にいろいろな制度も含めても、例えばEVだけに対して特殊な税制というようなやり方ではなく、いろいろな技術に対しても可能性を残しておくべきだと思います。e-fuelは技術的にはすでに作ることはできますが、既存の燃料と比べて何十倍もコストが高い。今後化石燃料レベルまで価格が下げられるかどうか、大量に作ることができるかという点でも大きな課題があります。しかし、技術的には可能性はありますし、ホンダの中でも研究はしております。
今日はEVとFCVと申しましたが、あんまりいろいろ言うと論点がボケてしまいますので、今日は敢えてEVとFCVに決め打ちした形で表現しましたが、内部ではそういう可能性の検討を捨てていません。例えば飛行機などは代替手法がありません。バッテリーで日本からアメリカまで飛べるわけではないので、こうしたモビリティはカーボンニュートラルフューエルに置き換わっていくのが妥当だろうと思っています。
ただ自動車という非常に市場が大きいところでいうと、一部特殊車両のようなもの、それからドライビングを楽しむようなクルマの用途では、残っていくという可能性は十分あると思いますが、マジョリティとして置き換わるかというと、私個人の見解としてはかなり難しいのではないかと考えております。そういう意味で今手の内にあるEVとFCVという表現をさせていただいておりますが、技術の可能性としては全然否定するものではないと思っています。
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