ソフトバンクは5月6日、楽天モバイルおよび楽天モバイル元社員に対する訴訟を提起し、1000億円規模の損害賠償請求権を主張すると発表した。
ソフトバンクは今年1月、同社から楽天モバイルに転職した元社員が不正競争防止法違反の容疑で逮捕されたと発表。同社員が19年末に退職する際、同社の営業秘密に当たるネットワーク技術に関わる情報を不正に持ち出していたことが20年2月に判明したと説明していた。
今回、東京地方裁判所へ提起した民事訴訟では、同社から持ち出した営業秘密の利用停止および廃棄、ならびに約1000億円の損害賠償請求権の一部として10億円の支払いなどを求める。請求額については今後の審理の状況に応じて拡張することがあるという。
ソフトバンクによると、20年11月27日付で楽天モバイルに対する証拠保全申立てを行い、同年12月10日付で営業秘密の利用停止などを求める仮処分命令申立てを実施。21年1月15日付で、楽天モバイル元社員の資産を対象として仮差押命令申立ても行った。
その過程で同社が営業秘密として証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務上利用するサーバ内に保存され、かつ他の楽天モバイル社員に対して開示されていた事実を確認したという。一方、楽天モバイルはこれらの電子ファイルを裁判所および同社に提出後、全て廃棄したと主張している。
このことから、今回の訴訟によって、楽天モバイルが不正競争を通じて不当な利益を得て同社の営業上の利益を侵害したこと、また同不正競争により建設された基地局などが存在することを明らかにすべく、請求を行うという。
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本人から辞任の申し出があり、取締役会で受理された。
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