米国で“巨額バラマキ”が行われても、日本では「難しい」理由:“いま”が分かるビジネス塾(1/4 ページ)
米バイデン政権が、巨額の財政出動を次々と繰り出している。日本に当てはめれば、約160兆円。大盤振る舞いをしている米国の財政は大丈夫なのか。一方、日本でも同じようなことができるのか。
米バイデン政権が、巨額の財政出動を次々と繰り出している。日本に当てはめれば、160兆円にも相当するとんでもない金額なのだが、ここまで大盤振る舞いして米国の財政は大丈夫なのだろうか。日本でも同じようなことはできないのだろうか。
日本に当てはめると、何と160兆円になる
バイデン米大統領は2021年4月28日、就任後初となる施政方針演説を行い、教育の無償化や子育て支援などに10年間で1.8兆ドル(約198兆円)を投じる計画を明らかにした。バイデン氏は就任後から矢継ぎ早に財政出動を表明しており、すでにコロナ対策に1.9兆ドル(1人当たり最大1400ドルの給付金を含む=給付金はこれで3回目)、AI(人工知能)活用やEV(電気自動車)支援、インフラ整備などに2兆ドルを投じるとしている。今回の家族支援策を加えると、投資総額は5.7兆円(627兆円)に達する。
日本と米国は経済規模が異なるので、金額が大きいということは分かるが、直感的にはあまりピンとこない。そこで日本の経済規模にこの数字を当てはめてみると、一連の財政出動は約160兆円になる。ちなみに日本政府の一般会計予算は年間107兆円なので、年間予算の1.6倍の金額を各種対策に投じる計算だ。
日本では1人当たり10万円の特別定額給付金(総額13兆円)の実施ですら大激論となった。ましてやEV化やAIといった次世代投資や子育て支援、教育の無償化などに、それをはるかに上回る金額を投じるなど、想像もできない世界といってよい。
一連の計画はあくまで大統領府のものなので、議会の同意が得られるのかは分からない。だが議会で論点となるのはおそらく増税の是非なので、超大型の財政出動を実施すべきという点では、コンセンサスはすでにでき上がっている。
では、バイデン政権(というよりも米国)は、なぜ、ここまで大規模な財政支出を次々と決定しているのだろうか。その理由は、今、巨額投資を決断しないと次世代競争に乗り遅れてしまう事情があるからだ。
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