米国で“巨額バラマキ”が行われても、日本では「難しい」理由:“いま”が分かるビジネス塾(2/4 ページ)
米バイデン政権が、巨額の財政出動を次々と繰り出している。日本に当てはめれば、約160兆円。大盤振る舞いをしている米国の財政は大丈夫なのか。一方、日本でも同じようなことができるのか。
次世代に向けた先行投資競争がスタートしている
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、足元の経済は各国とも大変な状況となっているが、実はこのコロナ危機が、時代の変化を一気に加速させる作用をもたらしている。
近年、AIに代表される新しいテクノロジーが台頭しており、10年後の社会は常識が一変しているとも言われている。脱炭素に関するテクノロジーも驚異的な進歩を遂げており、各国の産業構造は100年に1度の変革期を迎えている。本来なら、一連の変化は10年程度の時間をかけて推移するはずだったが、その予想を覆したのがコロナ危機である。
コロナ危機をきっかけに、各企業はIT化やAI化を一気に前倒ししており、企業のデジタルシフトが加速している。日本においても、あれほど嫌われていたテレワークが一気に普及したことからも、変化の大きさを実感できるだろう。あまりにも急激にデジタル化が進んでいることから、コロナ危機で景気が悪化しているにもかかわらず、ITには欠かせない半導体が全世界的に不足する事態となっている。
逆に言えば、ここで産業構造の転換に出遅れた国は、次の100年で致命的な事態に陥る可能性がある。高度IT社会にスムーズに対応するためには、巨額の先行投資が必要であり、国民のスキルアップも必須である。コロナ対策と次世代技術への投資、そして教育無償化や子育て支援がセットになる理由はここにある。
米国の規模と比較すると少ないが、欧州や中国も次世代技術への巨額投資を決断している。各国は苛烈な先行投資競争に突入しており、日本だけがその流れに完全に取り残されている状況だ。
関連記事
- 日本のアニメは海外で大人気なのに、なぜ邦画やドラマはパッとしないのか
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が米国でもヒットしている。このほかにも日本のアニメ・マンガは海外市場で勝負できているのに、なぜ邦画やドラマはパッとしないのか。その背景に、構造的な問題があって……。 - タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - 最近話題の「テレハラ」について、決定的に欠けている視点
会社にかかってきた電話は、誰がとるべきなのか。「新入社員がとるべきでしょ」と思われた人が多いかもしれないが、海外ではどうなっているのか。調べてみると……。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 物価は上昇しても「給料」は上がらない、根本的な問題
4月から公共料金や食品など多くの商品が値上がりしているが、ビジネスパーソンの給与も上がるのだろうか。筆者の加谷氏は否定的な見方をしていて、さらに下落するかもしれないと予測している。なぜかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.