「闇バイト」はドロ沼への入り口:世間にうとい若者(2/3 ページ)
世間にうとい若者は、「悪党が弱者を食い物にする」構図が社会にまん延していることを知らない。そして経済的に困窮すると、「自分だけは大丈夫」「今回だけだから」と自分に言い聞かせて「危ない橋」を渡ろうとする。そんな自分勝手な思い込みを狙っている連中におびき寄せられては身の破滅だ。
第一に、もしその「闇バイト」に失敗して(つまり警察に捕まって)しまったら、それきりだ。アナタの未来は一挙に暗転し、マイナスからの再出発を余儀なくされる。仮に執行猶予がついても、今後の人生に前科はついて回る。今までアナタが潜在的に持っていた将来の可能性の大部分が失われてしまう。実にリスクと代償は大きいのだ。
第二に、もしその「闇バイト」に成功して、運よくそれきりで「抜ける」ことができたとしても(その可能性は限りなく低いが)、一旦安易な「濡れ手で粟」を経験したアナタは間違いなく、次に金に困った際には似たような「悪党の誘い」に頼るか、自ら犯罪に手を染めてしまうだろう。一度「矩(のり)を踰(こ)えて」しまった人間は弱いものだ。アナタは捕まるまで同じことを繰り返すのだ。
第三に、もしその直近の「闇バイト」に成功しても、ほとんどの場合、実はアナタは「抜ける」ことができないのだ。どういうことか。それはこの「闇バイト」を提供する、特殊詐欺などを仕組んでいる組織側の事情を知ればよく分かる。
彼らは組織構想的にはトップに、「金主」という半グレ集団のオーナーか、暴力団がいる。その直下に特殊詐欺の組織長がいて、ここまでは実行部隊の連中に顔も実像も知らせないので、安全圏にいる。そしてその配下にいる実行部隊長である指示役が受け子や出し子、架け子(電話を掛ける役目)を一般から集め、具体的な指示を出している。
特殊詐欺犯罪の現場で一番リスクを負っているのが、被害者と会う「受け子」であり、ATMなどで顔や全身を監視カメラに晒す「出し子」である。つまり「受け子」と「出し子」は警察にも捕まりやすく(トカゲの尻尾切りの「尻尾」だ)、それだけ新しい交代要員が常に補充される必要があるし、この連中がいればいるほど組織は詐欺件数を稼げる。
したがって犯罪組織からすると、(スキルが求められる「架け子」はもちろん)頭数が必要な「受け子」と「出し子」は一旦手の内に入り込んだら手放すわけにはいかないのだ(当然、切っても痛くない「尻尾」なので、いつでも切り捨て御免が前提だ)。そのため彼らがどうしているのか。
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