CEOインタビューから見る、コロナで急成長した企業のポストコロナ戦略:ZoomとPeloton(2/4 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、事業を大きく成長させた企業がある。そうした企業はポストコロナ時代にどこへ向かおうとしているのか。ZoomなどCEOのインタビュー内容をひも解いたところ……。
withコロナ時代に急成長した「Zoom」
(1)Zoom
提供サービス:ビデオ会議ソフトウェア
本社:米国サンノゼ市
設立:2011年
最近の事業状況:従業員10人以上の法人顧客数 5万800社(19年末)→ 同8万1900社(20年末)
Zoomこそが、いわゆるwithコロナの時代に最も成長した象徴的なサービスと言えるでしょう。ビジネス、プライベート、地域コミュニティーなどあらゆるシーンでビデオ会議をするときの一般的なツールとなりました。
そんなZoomですが、人々が新型コロナウイルスを克服し、リモートからリアルへと回帰する将来を見据え、「リモートの人々を結ぶツール」から「リアルもリモートも包含したコラボレーションツール」への脱皮を図っています。
2020年にローンチされたZoom Apps機能により、SlackやDropboxのような業務用アプリがZoom上で使えるようになりました。Zoomが単なる「リモートの相手とビデオ会議をする」だけのツールではなく、業務のあらゆるシーンでユーザーとの接着面を強化しようという意図を感じます。
そして同じく20年に大幅に機能追加されたZoom Roomsにより、オフィス内の会議環境を総合的にサポートすることが可能となりました。オフィス内の会議室や受付などに設置する専用カメラやタブレットを通じ、「受付キオスク(体温測定や遠隔地にいるレセプショニストとの会話が可能)」「会議室の環境モニター(室内のCO2濃度などを測定)」「AIテレビ会議システム(専用カメラが会議室にいる一人一人の顔をとらえてテレビ画面に拡大表示)」などが実現されます。
Zoomの創業者兼CEOのEric Yuan(エリック・ヤン)氏のインタビューを見ると「キラーアプリからプラットフォームへ」というフレーズに複数回言及しており、今後のポジション変容への強い意思がうかがえます。
Essentially, we try to transform our business from a killer app to a video communication platform.
(Zoomはこれまでは一つのキラーアプリとして成長してきたが、今後は動画コミュニケーションのプラットフォームとなっていく)
We look at everything from a customer perspective.
(あらゆる可能性をユーザーの視点から探っていく)”
※マイアミハーバートビジネススクールによるインタビュー、YouTube上に2020年10月22日公開。
関連記事
- タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - サブスクを成功させるか、失敗させるか、キモは「3+1」
多くの企業がサブスクビジネスを始めている。当初の目標を達成できずに苦しんでいるところも多いようだが、どこに問題があるのか。成功事例をひも解くと、共通点が見えてきて……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.