世界中に広がるサイバー攻撃、日本企業は大丈夫なのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
世界的に発生する大規模なサイバー攻撃が大きな話題になっている。米国の首都ワシントンDCの警察も被害を受けたわけだが、日本企業は大丈夫なのだろうか。
日本企業も被害に
ババクは、今年になって初めて確認された組織だと見られている。ロシアで活動しており、筆者が以前に取材したCIA(中央情報局)のサイバー部門の元トップは、ロシアを拠点にサイバー攻撃をしている集団はすべてロシア情報機関などの監視下にあり、攻撃をある意味で「容認」していると述べている。今回のババクも恐らくそうだろう。
この事件、日本の警察に当てはめればどうだろうか。犯罪の詳細や証拠、参考人などの情報、警官や刑事告発者、相談者の個人情報など、こうした情報が世の中に漏れてしまえば大変な事態になる。そう考えると、この攻撃の怖さが身近に感じられる。
米国のメリーランド州ボルチモアでは、2年連続でランサムウェア攻撃に見舞われ、19年には警察への通報電話番号である911(日本の110番)が使えなくなる事態になった。犯罪を通報できない事態は非常に恐ろしい。
もちろん民間企業だってランサムウェアの被害に遭っている。例えば、日本。20年11月にゲームソフト大手カプコンがこの攻撃を受け、11億円の身代金を要求されている(カプコンは直ちに警察などに通報し、内部調査を行うなど素早い対応が評価されている)。大手ゼネコンの鹿島建設も、国外のグループ企業が攻撃を受けて、内部情報が盗まれている。
このほか、コンタクトレンズなどを扱う大手HOYA、本田技研工業(ホンダ)、キヤノンなどが被害に遭っている。ただこれら以外でも、攻撃されたことを報告していない企業もあるかもしれない。
米セキュリティ会社クラウドストライクの調査では、ランサムウェアの攻撃を経験した日本企業は全体の52%にも上るという。しかも身代金の支払い金額の平均は、1億2000万円を超えている。
関連記事
- 退職金4000万円上乗せ! パナの「50代狙い撃ちリストラ」は“正解”なのか
パナソニックが「50代社員」を対象に、大規模なリストラに踏み切る――。ダイヤモンド編集部が同社の内部資料を入手して報じたわけだが、“働かないおじさん”をターゲットにしたことは吉と出るのだろうか。長い目で見ると……。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 偏差値70! “いい会社”で働くために、「大卒」の学歴は必要なのか
大企業に就職するのであれば、大学を卒業したほうがいい――。多くの日本企業は「学歴」を重視しているが、米国はどうなのか。IT企業を中心に、動きがあって……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.